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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
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アデルの正体

 「アデルお坊ちゃま…!しばらく連絡がなくてずっと不安でしたが、良かった…!ご無事でしたか…!」

 アデルを見ながら涙を流す白髪の男性と、気まずそうに黙ったままのアデル。一体何なのだろうか。この状況は。

 「ねえアデル。お坊ちゃまって?あとこちらの男性は?」

 ケントが今一番聞きたいことをすぐに聞いてくれた。

 「この方々はもしかして…。アデルお坊ちゃまのご友人の方でしょうか?」

 「はい。俺はケント。こっちはメリッサといいます。アデルの命を狙う奴らを倒す為に、首都のフランクに向かっているのですが…」

 ケントがそう言うと、男性は「フランク…。坊ちゃまの…」と呟き、何かを理解したかのような反応を取る。

 「かしこまりました。ケント様。メリッサ様。よろしければ、この街の郊外にあるお屋敷に…



 アデルお坊ちゃまのご実家へ来られませんか?」

 「なっ…!おいクラウス!」

 アデルが酷く焦った反応をすると、このクラウスという男性は「大丈夫です。アデルお坊ちゃま。あのお2人は今旅行へ行かれていて、あと1か月は帰ってこられません」と優しい口調と表情で言った。

 そう言われると一瞬動揺し、少し考え込むような表情を浮かべた後、「…分かった。あいつらがいないんだったら…」としぶしぶ了承した。どうやら、この2人に何か繋がりがあるのは間違いないようだ。

 「かしこまりました。では、ご案内いたします。」


 クラウスさんの言うお屋敷は、街の郊外にある自然に囲まれた場所にあった。そして到着して早々に、ぽかんと大きく口を開けて驚愕した。

 何でって、その「お屋敷」が、お伽噺に出てくるお姫様の住まいそのものだったからだ。

 白と金色を基調としたコの字型の立派な建物で、建物の至る所に格子状のおしゃれな窓がたくさんある。屋根は紺色で、玄関へ向かうまでの道中にはフリージアやアネモネ、ガーベラやサクラソウといった春の花たちが咲く美しく広い庭があって、何よりこのお屋敷…いや。宮殿1つで一体何坪だ?と思ってしまう程広かった。


 そんな庭を通って屋敷の中へ入ると、そこでも再び驚愕した。白い大理石の床に金色の手摺が目立つ赤いカーペットの螺旋階段、そしてその階段の出発地点近くにある巨大な花瓶に入った華やかな花に、私の目は釘付けになった。

 屋敷へ入った途端、せかせかと働いていた年齢も性別もバラバラな黒いジャケット姿の男性達や、黒のロングワンピースに白いエプロンを着た女性達がこちらを見て「アデルお坊ちゃま!?」「帰ってこられたのですか!?」「本当に!?本物!?」と驚きながら声を上げる。そういえばあの時は気付かなかったけれど、このクラウスという男性も黒いジャケットを着ている。

 「さあ、皆様。貴賓室へご案内いたします。こちらへどうぞ」

 クラウスさんに促され、私達はクラウスさんの後ろを着いて行った。


 案内された貴賓室は、草木の様なものがデザインされた紺色のカーペットに長机が1つ、その机を挟むようにワインレッドのソファーがあって、窓には繊細な花のデザインのレースのカーテンが付いていた。

 ソファーに恐る恐る座ると、今まで座ったどのソファーよりもふかふかで、安心する心地のはずなのに、今の緊張する気持ちがその心地を上回ってしまった。

 座ってから少しして、「失礼します」という声がして、エプロン姿の女性が私達に紅茶とケーキを運んできてくれた。…今までの流れを全部振り返ってみて、何かこれって…。


 私のソファーに左からケント、アデル、私の順で座り、その向かいの中央のソファーにクラウスさんが座る。

 そして少しの沈黙を置いて、クラウスさんが口を開けた。



 「…アデルお坊ちゃまはこの家の、ライプチヒの貴族家・ヘルトリング侯爵家の御曹司なのですよ」

 

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