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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
59/215

…お坊ちゃま?

 「えっ。こいつらももしかして危険生物?」

 「そーだな…。あんま強くはない種類だけど…」

 私が刀を鞘から抜きながら、アデルが拳銃を取り出しながらそう会話する。蜂の3倍くらい大きな危険生物達は20匹くらいいて、1匹くらいなら問題なく倒せそうだけど、20匹となると話が変わってくる。

 虫なのですばしっこく飛ぶし、動きが非常に予測しにくい。どう動くか…と思っていると、危険生物達は一斉に襲い掛かってきて、うわどうしよう、と思っていると、アデルが両手に持っていた拳銃を左右に薙ぎ払うな動作と共に、一気に全員撃ち抜いてしまった。

 撃ち抜いたその瞬間に危険生物達の身体からぼうっと炎が燃え上がって、そのまま体は燃やし尽くされ、その炎も風と共に消えていった。


 「前々から思ってたけどさ。アデルってその射撃の腕、どうやって磨いたの?」

 危険生物達を倒し、再び目的地へと歩いていた私達に、ケントがそう聞いてきた。

 「精霊使いで拳銃を、それも精霊の力を込めて使う拳銃を使う人なんてなかなかいないでしょ。何がどうなってそんな戦い方をしてるの?」

 「…それはあんま、言いたくねぇ」

 いつも堂々としたアデルにしては珍しく、言葉を詰まらせる。…やっぱりアデル、私達に隠してる事があるな。無理に明かしてほしいとは思わないけれど、嫌でないなら教えて欲しい。

 この短い期間の短い旅で、私達は結構団結力が強くなっているような気がする。


 そんな会話を繰り広げていると、遠くに街が見えてきた。けれどもその街は今までの小さな町や村の様な感じではなくて、もっと大きな街の様に見える。

 「ねえケント!アデル!街が見えてきた!」

 「ほんとだね。あそこにも行ってみようか」

 私とケントで頷き合い、早足になる私達とは裏腹に、アデルは「あっ、おい!ちょっと待て…!」と何故か気まずそうなアデルに気付く事が出来なかった。


 街へ到着するとそこは、白やピンク、黄色の壁に赤い三角の屋根、そしてそんな家がたくさん並ぶ中、ブティックや市場が並び、木や花がたくさん存在する、まさに「絵本に出てくる世界」といった感じだった。

 その光景に私もケントも「おお…!」と感嘆していると、アデルが後ろから「ここはケルンブルク。首都フランクの次に人口が多い、ライプチヒの娯楽の中心だよ」と教えてくれた。


 すると少し間を開けて、アデルが「なあ…。出来たらこの街、このまま出て次の町へいかねぇか?」と少し不安そうな表情で頼み込んできた。

 

 今までそんな反応する事なんてなかったのに、どうしたんだろう?と思ったその瞬間、すれ違った白髪の男性がハンカチを落としたので、いけないと思い、ハンカチを拾って「あのっ。これ落としましたよ!」と男性に話しかける。

 「ん?ああ!すみません…!それは大切なものでして、よかった…」

 そう言いながら振り返り、私達3人を見て男性は驚愕の表情を浮かべる。

 




 「アデルお坊ちゃま…?アデルお坊ちゃまですよね!?」

 アデルの事を見て「お坊ちゃま」と呼び、目に涙を浮かばせながらアデルの目の前へ駆け寄る。

 「あ~…。最悪だ…」

 アデルが溜め息を吐きながら手をおでこに当て、鬱陶しいと悲しさが混じったような表情を作る。


 …お坊ちゃま?お坊ちゃまってどういう事だ?と私の頭はパンク寸前になって、思わずケントと顔を見合わせた。

 

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