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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
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不良な少年の不良らしくない所作

 太陽の光の温度と優しい心地の毛布の感触を肌に感じながら、ゆっくりと意識が浮上していく。目を覚ますともう朝になっていて、スマホの時間を確認すると7:00という表示があった。…そういえば、外の世界に来てから時間とか気にした事がなかったし、あと時計ってあるのかな?また後でアデルとケントに聞いてみよう。

 部屋のドアを開けると、籠に入った私の制服があった。昨日の夜、宿の方が洗濯してくれたらしい。制服に着替え、髪をポニーテールに束ねて宿の裏にある井戸で洗顔を済ませる。

 昨日の就寝前、朝になったら1階のロビーに集まろうとケントとアデルと話し合ったので、準備を済ませて荷物のリュックを背負って2階にあった私の部屋から1階のロビーへと向かった。


 「おー。来たか。おはよー」

 ロビーに着くとケントとアデルは既にいて、2人で腕を組んだりポケットに手を入れたりしながら背中を後ろにもたれかかっていた。

 「おはよう。あ、もしかして結構待たせた?だとしたらごめん」

 「ううん。俺達もついさっき来た所だし。気にしないで」


 …おお。もしかしてこれが噂の「実は早くに来てたけど、全然待ってないよ」っていうデートの待ち合わせの恒例行事なのだろうか?

 そんなアホな事を考えていると、アデルが私に茶色の紙袋を掲げながら「お前が嫌じゃなければ、もうこのまま出発しようと思う。これ、宿の人から貰ったサンドイッチと果物なんだけどさ、こっから暫く移動してから食べねぇか?」と聞いてきた。

 断る理由もなかったので、私はうんと頷いて、宿の方にお礼を言い、宿とこの村を後にした。


 宿から1時間くらい歩いた所にある木の下で、私達は朝食を摂る。木陰に入りながらサンドイッチを食べていると、私はある事に気が付いた。

 「(ん…?アデルって、何か食べ方がすごい綺麗だな…)」

 いや、食べ方が綺麗な人はたくさんいるし、私もそんな人はよく見てきた…けど、アデルはその中でも特に綺麗だった。何というか、手の動きと口の動きに余計な動作が無いし、食べる時もガサツにもぐもぐとするのではなく、小さく丁寧な動きで咀嚼している。そんな感じだったので、それに気付いた瞬間、私の食べ方がなんだか恥ずかしくなった。というか、アデルは口や態度は不良みたいに悪いのに、所作が本当に綺麗だなと思う瞬間が何度もある。これは一体…?


 そう思っていると、アデルに「うおっ。何だよじっと見やがって」と驚かれた表情をされた。どうやら自分でも気付かない内にアデルをじっと見てしまっていたらしい。自分の行動の気持ち悪さに気付き、素直に「ご、ごめん…」と謝っておく。


 その後も「外の世界では時間ってどうやって判断してるの?」という質問に対し、ケントが「普通に時計で判断してる?さっきの宿で見なかった?」といった雑談をした。砂時計とか、そういう何かかっこいいもので判断してる訳じゃないんだ…と軽くがっかりしていると、突然ブーンという音がして、思わず周りを見渡すと、蜂…みたいな巨大な虫達がいた。

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