ケント…?
体を拘束した山賊達を中心部に集める。山賊達は何とか拘束を解こうとするものの、水の拘束が思った以上に強固で、びくともしない。
「おーい!ケント!メリッサ!子ども達いたぜー!」
小屋の確認に行っていたアデルが私達に呼び掛ける。あの反応からして、子ども達は全員無事なのだろう。私は胸を撫で下ろした。
「…で。村から盗んだ金品や宝石はどこだ?多分アデルの反応からして、小屋にはなかったんだろ」
ケントが仁王立ちになりながら山賊達に問いかける。
「お、お前らなんざに場所を教えるか!お前らに場所を教えるくらいなら、死んだ方がマシだ!」
さっき私が斬りつけた棟梁がそう叫ぶ。
「おう!お頭の言う通りだ!俺らが盗んだ物は俺らの物だ!意地でも渡すか!」
「そうだそうだ!」
棟梁の発言に同意した他の山賊達も教えまいと叫ぶ。
その発言にケントがぴくりと反応し、棟梁の近くへゆっくりと歩き、しゃがみ込んだ。
「…お前…。俺達に教えるくらいなら死んだ方がマシって言ったな?」
「おうそうだ!あんなのはな!奪われる方が悪いんだ!大事な物を自分で守れない、弱い奴のせいだ!俺が奪った物は全部俺のものだ!」
棟梁がめちゃくちゃな言い分をケントに対して言う。
それに対してケントは何も返答はせず、代わりにニコリと満面の笑みを浮かばせて_
隠していたバタフライナイフで、棟梁の首を思いっきり刺した。
その瞬間、棟梁の首からクラッカーみたいに血がぶわっと大量に出て、棟梁は目を見開きながらその場に横向きに倒れた。首は急所だ。あんな刺され方をされたら、完全に即死だ。
倒れた棟梁を見て、他の山賊達が「うわあ!助けてぇ!」とパニックを起こし始めた。
刺した時に発生した大量の血を被った関係で、ケントの顔と白いシャツには血が飛び散り、前髪にも若干血が付着していた。そして口元に付いた血を手で拭うと、ケントは冷酷に笑いながら「あぁ。お前らも死んだ方がマシだって言ってたよね?」と黒のスキニーから再び別のバタフライナイフを取り出した。
するとさすがに死にたくなかったのか、山賊の1人が「教える!教えるよ!小屋の裏に埋めてある!」と泣き叫びながら教えた。
「小屋の裏か。メリッサ、アデル、後で確認しよう」
いつものケントの調子でそう言うと、ケントは山賊達を拘束していた水の触手に触れた。
すると触手は山賊達を高く持ち上げると、ここからずっと遠くへとぽーんと投げ飛ばした。
「…あっち、危険生物の生息地域なんだ。それも、生身の人間が入ったらほば助からないような」
ケントがとんでもない事を言うと、ケントはすぐ何事もなかったかのように「じゃあ、敵は排除できたところだし、子ども達を助けに行こうか」といつもの明るい調子で言った。




