表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
50/215

意外な武器

 村娘によると、山賊はここから2km程離れた森の中にアジトを構えているらしく、恐らくそこに村で盗まれた金品はもちろん、子ども達もいる。

 アジトへ向かう道中、アデルに聞いてみた。

 「ねぇアデル、ライプチヒでは、山賊って結構沢山いるの?」

 「そーだな…首都のフランクみたいな都会の方ではほとんどねぇけど、こっちみたいな田舎だとたまにあるな。俺の住んでたあの町でも一度あったし。でも、強奪がほとんどで、命を奪うような事は一度も無かったな。ひょっとすると奴らは恐らく…」

 そこまで言うと、アデルは何かハッとした様子で、何故か口を噤んだ。

 「え?どうしたの?」

 「いや、俺のただの憶測だ。気にすんな」

 そんなやり取りをしていると、辺り一面を見渡せる、すぐ隣に滝がある崖にやって来て、その崖から肉眼で確認できる森の中に_アジトはあった。

 アジトは丸太をロープで縛る形で出来た、学校の体育館くらいの広さはありそうな、そこそこ大きな場所だった。

 アジトの前には同じく丸太でできた門があって、門は閉じられている。その近くで門番と思しき、裸の上に動物の毛皮を羽織った小太りの男性が、槍を持って立っていた。


 「あれって…門番だよね…。ここから降りて戦っても、奇襲に気付かれるよね…」

 「そーだな…だったら…」

 アデルが腰から拳銃を取り出す。そういえばこのアデルの拳銃、オートマチックの形状なんだけど、本とかで見た拳銃よりも何か、形が長いような…?

 そう思った次の瞬間、アデルは右手に持っていた拳銃を左手に持っていた拳銃の後ろ、激鉄の辺りに差し込むと、頭に着けていたゴーグルを着用し、崖付近にうつ伏せになって銃を構えた。これはもしかして…。


 「ねぇアデル、何する」

 「少し待ってろ」

 そのアデルの声には、さっきまでの不良の様な感じではなく、ただ一つ、強烈な集中の意思が感じられた。

 アデルが目を細めると、次の瞬間アデルは銃の引き金を引き、銃口から青白く輝く光の光線が爆発音と共に走り、そのまま遠く離れたあの門番に…命中した。

命中した瞬間、男性は一瞬痙攣した後、白目を剥きながら仰向けに倒れた。


 「よしっ、あれで他の仲間に気付かれずに行けるぜ!」

 ゴーグルを再び頭に付け直しながら、アデルが明るい口調で言う。銃口からは発砲した関係で、煙が上がっている。

 …いやいやいや、ちょっと待って!アデルって、遠距離からの狙撃も出来るの!?

 「ちょ、ちょっとアデル!」

 「ん?」

 「今、なにやったの!?一体…。」

 「あぁ。俺のこの銃、合体させる事でライフルにもなるんだよ。近付くのは無理だけど、ライフルで狙えばいけると思ったんだ。あぁあと、あいつは殺してはないぜ。今は気絶してるだけどけど…しばらく目は覚まさねぇだろうな」

 …情報が追いつかない。詳しく追求したいところだけど、今は子ども達の命が関わっている。話は後でまたすれば良い。


 「…で、あそこまでまた時間がかかるよな。どうやって行けば効率良く行けるか…」

 「あぁ。それなら簡単だよ」

 ケントの一言に2人でえ?と反応すると、次の瞬間、ケントにアデルと一緒に滝に突き落とされた。


 …突き落とされた?


 「「えっ(はっ)???」」

 うわあああああと叫びながら、私達は滝に落ちて、滝の下にあった滝壺にざばんと入水した。

 私達が入水したすぐ後に、ケントもまた落ちてきた。一旦全員で陸まで上がり、息を整えると、アデルはお腹の底から声を出して叫んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ