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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
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ハイデルの村にて

 そんな感じの会話を3人で行っていると、とある村に到着した。

 「ここはライプチヒの南部にある村…ハイデルだ。

ハイデルに到着したって事は…出発地点から5kmくらいは歩いたんじゃねぇのか」

 5km!なかなかな距離だが、話しながら歩くとこんなに早く到着した感じになるのか!

 よくSNSで「アトラクションの待ち時間は、喋っていたらすぐに時間が過ぎる」という呟きを見た事があるが、あながち間違っていなかったらしい。

 ハイデルは白や茶色を貴重としたレンガ造りの家な数々に、緑に包まれた、まさに小説に出てくる「ファンタジーの中の田舎」という感じだった。


 …けれど村へ入ってみると、村の様子がおかしい。

住民達が所々にいたが、全員が絶望した顔でその場にへたり込んでいたり、パニックを起こしながら涙を流したり、「おわりだ…」と嘆いていた。

 一体何なんだとケントとアデルと顔を見合わせると、まず状況を理解する為、住民に話を聞く事にした。


 「ねぇ、大丈夫?」

 ケントが端正な顔と優しい雰囲気、穏やかな話し方を最大限に活用し、地面にへたり込んでいた村娘に目線を合わせながら呼びかけた。

 村娘は顔を上げると、顔を涙で濡らしながら「天使…?」と小さな声で漏らした。

 「村の様子が妙だけど、一体何があったんだい?」

 この子を怖がらせないよう、ケントが優しく聞いた。

 「…実は…。ついさっき、この村を山賊達が襲ってきたんです…」

 …山賊!?これもファンタジーの中だけの存在だと思ってた…。

 「山賊がこの村を襲ってきて…村のお金や宝石を盗んで、子供達を攫って、逆らうものは…殺されて…」

 話を聞くと、どうやらついさっき山賊達が村を襲撃し、村人達に金品や宝石を出すよう命令し、それが出来ないものは殺害してしまったらしい。周囲を見渡すと、血を流しながら倒れている人が数人程いる。

 「…攫われた子供達の中には、私の弟もいるんです…!でも、この村に山賊とやり合える人なんていないし…」

 村娘が泣き叫びながらそう語る。住民達の金品だけでなく、家族まで攫うなんて、残虐だし身勝手極まりない行為だ。


 だったら…。



 「「私達が(俺らが)助けに行きます」」

 一瞬え?と思うと、どうやらアデルと被ったらしい。

 アデルも同じようにえ?という顔で私を見ている。

それを見てケントがふふっと笑い「という事で、俺達がこの村の子供達も、金品も取り返してきますよ。あ、俺達こう見えても、全員戦えるんですよ」

 そう言うと、女性は俯けていた顔を上げ、がばっと立ち上がって「ありがとうございます!どうか…どうかよろしくお願いします!」と涙を流しながら勢い良くお辞儀をした。


 そんなこんなで、私達は村を襲った山賊のアジトへ向かう事になった。



 「アデルって…敬語使えたんだね」

 「使えるわ!ケント、お前ナチュラルに俺をコケにするよな…」



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