似てないようで意外と似てる
その後しばらくは、「グループワークとかでランダムに同じ班になると、何もしてないのに嫌そうな反応をされる」とか「授業中に指名されて答えるだけで、クスクスと笑われる」といった経験が私達の口からどんどん出てきた。
…何だろう。この子、口の悪さとかは私と全然似てないけど、何か…。
「ぐっ…。あっははっ」
私達の会話を聞いていたケントが、何故か笑い出した。
「え…?ケント…?何で笑ってるの…?」
「ははっ…。あぁいや、ごめん…。いや何か、2人って一見すると振る舞いも雰囲気も違うけど、意外に似てるんだなって」
え?似てる?私達が?私とアデルが?
私にはアデルの口の悪さも、思った事をはっきり言う所も、振る舞い方の感じも違うと思うんだけど…。
「お互い輝きすぎて、周りの嫉妬を買ってしまったり、変な人を寄せ付けたり、孤立してしまう所。びっくりするくらい似てる」
…輝いてる?まあ、アデルは希少性の高い精霊の力もそうだし、良くも悪くもはっきり堂々とした振る舞いや、整った外見が周りの目を引いてしまうのは安易に想像できる。
…でも私は…。クラスの人気者の男子と話している時の、私を見る女子の目。
あれは完全に、遠回しに「死んで欲しい」と思っている目だった。
クラスでそんな立ち位置だった私が、輝いていて、それであんな思いをしてたって?
慰める為だとしても冗談がきついなと、捻くれた事を考えた。
「…似てるか?俺達?」
「うーん…。ケントの感性って、結構独特だからなぁ。よく分かんない。でも、当たり前だけど見た目は似てないよね」
「それはそうだな」
アデルと2人、ケントの発言の意味を考える。
…でもそういえば、男子とこんなに落ち着いて話したのは久しぶりかもしれない。
クラスの男子達は正直…語彙力が小学生並に低くて、私を都合の良い時にしか存在を認識しない、生き物みたいだと苦手に思っていたから。
それに対して、比べるつもりはないけれど、アデルは圧倒的に話しやすかった。
口は悪いけどその人が本気で嫌がる事は言わないししない。何より頭が良いので、ちゃんと会話のキャッチボールが出来ている気がする。
今までは何か…相手(男子)がボールを投げて、私はそれをキャッチして返すんじゃなくて、ただそれを受け止める、カゴみたいな感じだったから。それはケントもそうだった。
慣れない環境で戸惑う事は多いけど…。なんやかんや、呼吸がしやすくて空気がおいしい。今はそんな気がする。




