この子は何者?②
「アデルか。良い名前だね。じゃあもう、決めたからには早速出発しようか」
「OK。じゃあ軽く荷造りしてくるから、ちょっと待ってろ」
そう言うとアデルは2階へ走って行き、10秒もしないうちに戻ってきた。
…いや、荷造り早くないか?しかも量少な…。アデルが持ってきたのは、右腰にさっきの拳銃を、左腰におそらく荷物が入ったポーチのようなものだった。男の子って、こんなに荷物が少ないものなんだろうか?
「…で、君の命を狙ってるっていう奴らは、一体どこにいるの?」
「…まず、俺の命を狙ってるのは、この国の精霊部隊…精霊の力を戦力とする軍と、あとは国のお偉いさん達だよ。そいつらさえ何とかすれば、少なくとも今みたいな生活からは抜けられる」
精霊部隊…。お偉いさん…。もしかしてこの子、この国にとってかなり重要な何かに関わっているんだろうか?
「その部隊とお偉いさん達はどこにいるの?」
少年は再び地図の前に行くと、ライプチヒの最南端。私達が今いる場所を指差した。
「現在地がここだとすれば…ここからライプチヒの北部にあるライプチヒの首都。フランクに、倒すべき奴らがいる」
少年はここからずっと北にある場所を指差した。
「なるほど。じゃあ、まずはここへ向かえばいいって事だね。分かったよ」
「うしっ。そうと決まれば早速行こうぜ」
そう言って私達は、ライプチヒの北にある首都・フランクを目指す事になった。
さっきの通路を歩いていると、さっきの蔦が再び行き先を阻んでいて、アデルはそれを見ると蔦の壁の前に立ち、右手をかざした。
すると緑色の光が発生して、蔦は自分達を送り出すかのように、しゅるしゅると戻って行った。いつ見ても不思議な力である。
アデル・シュナイダー。
口は悪いけど強力かつ非常に希少性の高い精霊の力を持った、国に命を狙われる少年…。
頼りになって、個性的で、でもまだ謎が多いこの男の子が、私達の仲間に加わった。




