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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
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少年による精霊解説講座④

 「…何でそう思うんだよ」

 「ここに来るのを妨げていた、あの蔦だよ」

 ケントがそう言うと、私はあの生い茂った蔦を思い出した。

 「自然に生えていたっていうより、ここに誰も来ないように、奥に空間があるっていうのを気付かれないような生え方をしてたんだよ。だから、ここに人がいるって思われるとまずいであろう…君がやった事なんじゃないかと思ってね」

 「……」

 「あと、あの時君が放った閃光。

 雷ともう一つ…うっすらと炎の感じもしたんだけど。恐らく、雷と炎の力を同時に放つ事で、より強力な閃光にしていたような、そんな気がする」


 ケントが話し終えると、少年は大きく溜め息をつくと、再びどかっとソファーに座り込み、両手をぎゅっと握ると再び広げ、そこには右手には緩く燃え上がる炎、左手には草花があって、私は思わず「へっ?」という声が出た。

 「…その通りだよ。金髪探偵。俺は雷だけじゃなくて、木と炎、合わせて3つの精霊の力を扱える」

 「やっぱりね。でも3つも扱えるなんて相当…いや、ものすごい珍しいね」

 「え、ケント。ケントは水以外に扱えないの?」

 するとケントはあぁ、と言い、少年から私の方に顔を向けた。

 「精霊の力っていうのは、基本的に1人につき1つの属性しか扱えないんだ。…でもごく稀に、複数の属性の精霊の力を扱えたり、水や炎のどれでもない、特殊な精霊の力を持って生まれてくる人がいる。多分割合で言うなら…全精霊使いのうちの1%…いや、0.01%にも満たないほどの少なさだと思う」

 0.01%?精霊使いが10人に1人の割合なのに、その中のさらに0.01%となると…会えるのが奇跡的なレベルの希少性かもしれない。


 この緑色の髪の少年…一体何者なんだろう?


 「そうだ。お前、ちょっとこれやってみろよ」

 少年はソファーから降りると、近くの机に置いてあった、赤色と青色のガラスの壺のような物を2つ持ってきた。

 「この赤色の方が精霊力、青色の方が共鳴度の高さを測る、『精霊力測定装置』だ。精霊力を放ちながらこの壺に触れると、不思議な事に水が壺の底から少しずつ溜まっていくんだ。で、壺の半分くらいが平均的な力の量だ。お前だったらどれくらいなのか、ちょっとやってみろよ」

 そう言われるとケントは左手を赤、右手を青いツボにかざし、ゆっくりと目を閉じた。

すると少年が言った通り、本当に壺の底から水が溜まってきて、赤色の方は半分より少し下くらいで止まったものの、青色の方はどんどん溜まっていき、やがて水が溢れ出し、その次の瞬間にはパリンッという音と共に破裂してしまい、壺を持っていた少年の手を水浸しにてしまった。

 「えっ…破裂、した…?」

 「すっっっげぇな!ここまで共鳴度が高い奴、初めて会ったぜ!」

 少年がキラキラした目で青色の壺を見つめる。

 「うん。あ、壺…割っちゃってごめんね」

 「そこは気にすんな。同じやつ何個も持ってるし」


 「…そうだ、今度は君がやってみてよ。この精霊力測定装置。君はどれくらいなの?」

 そう言われると、少年は少し面倒くさそうな顔を浮かべると、再び壺を2つ取ってきた。




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