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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
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少年による精霊解説講座③

 少年はケントを真っ直ぐ見つめると、ケントに向かってこう言った。

 「俺の予想だが…お前は多分、水の精霊の使い手だろ」

 「へえ、何でそう思うの?」

 一応問い詰められている状況だけど、ケントはいつも通りの落ち着いた態度を崩さない。

 「この町の住人ですら、こんな所に人がいる事に気付いてすらねぇんだ。…でも、ここがバレた。ここへ来る前、壁一面に蔦が絡まって、水の溜まり場みたいなものがある空間に辿り着いたろ。

…基本的にほとんどの奴は、あそこで行き止まりだと思って終わりだろうが…。水の精霊の、共鳴度の高い人間だったら、あの水の溜まり場に棲みついてる精霊と対話して、『俺がどこに行ったか』確認できるだろ」

 …ん?共鳴度?何かまたよく分からない言葉が出てきた…。


 「ご、ごめん。共鳴度?って、何・・・?」

 私の言葉に少年が「あぁ~忘れてた…」とハッとした表情を浮かばせる。

 「精霊の力を扱える人間には、『精霊力』と『共鳴度』の2つの項目があるんだよ。

 『精霊力』が高いと、その場にある力を増幅させたり、何もない所から力を生み出したり、力を乱発したりする事ができる要素だな。まあ、体力と近い感じだと思ってくれてもいいかもな。さっき俺がやったみたいな何もない所から雷を発生させたのも、この精霊力が高いから出来る事だぜ。」

 「じゃあつまり、コップ一杯分の水を、家全体が水浸しになる位量を増やしたり、種がまかれていない土に花を咲かせたりするもの、精霊力が高いとできるって事?」

 「おう、その通りだ。で、もう一つの『共鳴度』だ。共鳴度は、ざっと言うなら精霊との信頼関係の度合いだ。精霊っていうのは、気に入った相手ほど力を貸したりする存在だ。この共鳴度が高ければ高いほど、精霊は使い手に協力したり、使い方のバリエーションが増えたりする。

 …で、恐らくだが…。この金髪は、精霊力はそこまで高くない。何もない所から水を出したりなんていうのは無理だ。でも、共鳴度はとんでもなく高い。だからあの水に棲みついていた水の精霊と対話して、俺の居場所を聞いた。違うか?」


 この少年の推理に、ケントは笑顔を浮かばせ、「すごいね。君。その通りだよ」と返した。

 「確かに俺は、水の精霊の力を扱える。君が言った通り、さっきの君みたいに何もない所から水を発生させたりなんて事は出来ないけど、俺は力を自覚したのが早かった方だから、それからずっと水の精霊と対話を繰り返してきた。…で、今では水の精霊と対話したり、水を色んな形で活用出来るようになったんだよ」

 …なるほど?つまりケントがアラクで精霊の力を使わなかったのは、元々の精霊力の量が少ない上、精霊の力がほとんどないアラクで力を使うのは非常に困難だったので、何回も使えなかった、という事だろうか。

 まだまだ疑問や謎は残っているけど、ざっくりとなら分かったかもしれない。


 「精霊力はほとんど生まれた時点で決まるが、共鳴度は本人が精霊に寄り添う努力をする事で上げる事も出来る。恐らくだが、相当努力を重ねたのかもな。あと、アラクからここまで相当距離があるし、途中で強力な渦潮があるが…それもお前が水の精霊に頼めば、途中まで連れて行ってもらったり、渦潮の勢いを止めたりする事も出来るんじゃねぇのか?」

 「え。ケント、あの時島から出られたのは、ケントの精霊の力があったからなの?」

 思わず聞いてしまった。だってそんな力を使ってる所、全然見てない…。

 「うん。メリッサはぐっすり眠ってたから、見れてないけど」

 …あぁ。そうだったそうだった。あの時の私、疲れすぎて爆睡してたんだった。ケントが渦潮の勢いを止める瞬間、ちょっと見てみたかったので、残念だ。


 「…で、君もまだ隠してるだろ?」

 「…隠してるって何をだよ」

 ケントの一言に、少年が鋭い目つきになった。

 



 

 「君、結構強力な精霊使いだよね?…あと、雷の他にも、使用できる属性がある。違う?」



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