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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第2章 精霊国家・ライプチヒ
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閃光の正体

 さっきの閃光の正体を知る為に、私とケントは裏路地へ繋がる通路へと入って行った。

 …それにしてもこの町、通路が入り組みすぎてる。通路っていう名前のもはや迷路だ。途中分かれ道が何度もあって、進んだら行き止まりになったり、町に戻ったりする事が何度もあり、その度に引き返して先に進むというのを繰り返した。


 そうした作業を繰り返しているうちに、辺り一面蔦に囲まれ、中央に水が溜まった溜まり場がある空間にやって来た。水には魚がすいすいと泳いでいる。

 「ねえケント、ここで多分最後だよね?もうここ以外は全部調べたよね?」

 そう声をかけるも返事はなく、ケントは何故か水溜り場近くににしゃがみ込んで、右手を水の中に入れていた。

 「え…?ケント、何やってるの?」

 純粋に出てきた疑問だった。賢いケントがそんな行動を取るなんて意外…というか、探索中にいきなりそんな事されたら誰だってこんな反応になる。

 「ん?あぁごめん。何か冷たいのかなーって気になって」

 …何でこの状況でそんな事が出来るの。呆気に取られた私の反応をケントは気にせず、空間の奥にある、蔦が大量に絡まったこの空間でも、特に蔦の絡まった一面へと歩いて行った。


 「ねえメリッサ、この蔦…切り落とせそう?」

 「へっ?」

 「切り落とせるかって聞いてる」

 いやまあ…蔦くらいなら多分私の刀で切り落とせると思うけど…。

 「…分かった。やってみるね」

 そう答えて私は鞘から刀を抜き、思いっきり右斜め下に蔦を切ってみた。

 すると刀身には蔦の奥にあるはずの壁の感触がなく、むしろ…。


「奥に何か…空間がある?」

 続けて何度も切って蔦を取り除くと、予想は的中、何と蔦の奥に空間があったのだ。

 「ケント…!これ…!」

 「やっぱりね。多分だけどこの奥に…さっきの閃光の正体が待ってるんじゃないかな」

 そう言うとケントは私に目配せし、私達は奥へと進んだ。


 途中の通路も大量の蔦に絡まれていて、何度か刀で切り落としながら進んだ。

 すると辿り着いたのは、蔦がある場所…ではなく、1階にも2階にも、壁一面に本が並べられ、床にも大量の本や書類が積まれ、まるでファンタジー小説の魔法使いの部屋として登場しそうな、学校の教室半分くらいの部屋だった。

 「何…?この魔法使いの部屋みたいな」

 場所、という続きの言葉を言おうとしたその時、ケントが私の肩を抱いて、勢いよく私を抱きしめた。

 抱きしめるのと同時に、バキュンと何かが大きくなる音がしたのと、さっき私が立っていた場所に、煙が立っているのが見えた。

 それとさっきうっすらとだけど…光、ううん、さっき見た閃光みたいなものが、見えた。

 突然何が起こったんだと動揺していると、2階から声が聞こえてきた。






 「ふーん…人1人守れる余裕あるとか、結構手練れな客が来たもんだな」

 声がした方向を思わず見上げると、そこには2階の欄干に脚を組みながら座り、私達に拳銃のようなものを向ける、緑色の髪の少年がいた。



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