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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第1章 アラク
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私の日常②

 学生寮は4階建てのマンションの様な造りで、私は寮の2階に住んでいる。

 階段を下りて1階にある食堂へと向かい、食堂へ入ると朝食特有の香ばしい匂いが鼻を反応させ、それと同時にお腹がぐうと鳴る。


 今日の朝食は豆腐とわかめの味噌汁に卵焼き、レタスとトマトのサラダに白ご飯という、和と洋が混合したような朝食にアンバランスさを感じつつ、お盆を持ってカウンター越しに食堂のおばちゃん達から1つづつ貰っていく。


 今日の食事を全て貰って空いている席に座り、こういう食堂や外の定食屋は白ご飯の量が結構多いよな、お腹を満たすための方法なのかなと思いつつ、いただきますをして食べ始めると、突然右肩をポンポンと軽く叩かれた。


 何だろうと隣を見ると、黒のセミロングにシースルーの前髪、まつ毛に黒のマスカラを塗った、女子高生向けのファッション誌でモデルをやっていそうな可愛らしい女の子が座っていた。

 この食堂は長机が20個くらいに椅子が2つずつ置いてあって、知らない人が隣になっても全く珍しくはないのだが、この子は初めて見た。

 少なくとも同級生でこの子は見たことがなかったので、2年か1年かなと思うと同時に、まつ毛に施した化粧を見て、うちの学校化粧OKだっけ?なんかちょくちょく校則ガン無視の人っているよなと、くだらない事を考える。


 女の子は少し困った顔をしながら「すいません…私トマトすごい苦手で、食べてもらっていいですか?」と聞いてきた。高めの小さい子供みたいな声だと思うと同時に、女子にしては少しだけ低めの声の私とはあまり似ていないなとも感じた。

 うちの食堂は食べ残しに厳しく、残すと食堂のおばちゃん達から説教を食らうので、苦手な食べ物があると他の人に食べて貰う事が多く、好き嫌いがあまりない私はこれまで色んな人のおかずを代わりに食べてきた。


 「うん、大丈夫だよ。貰うね」と言うと、女の子はぱあっと笑顔を見せ「ありがとうございます!」とお礼を言ってきた。

 女の子から貰ったトマトを食べながら、こんな風にナチュラルに人に頼れたり甘えられる子って、人によっては反感を買ってしまうかもだけど、人によってはものすごい可愛がられたりするよな、社会で上手くやっていけるのって、案外こういうタイプかも?と思いながら、朝食を食べ終え、お盆を返却口に戻して鞄を取りに行くために自室へと戻る。


 自室へと戻り、洗面台の鏡で自分の顔を見ると、再び母親の事を思い出す。なるべく思い出さないようにしていたのに、さっき思い出してしまったせいで食事中も頭の隅に母親の事があった。

ふいと鏡から顔をそらし、今の私がやることはこんな事じゃないなと思い、リュックを背負って私は学校に向かった。

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