私1人でも
地面に顔を埋めるお兄さんを見ていると、男が私に呼びかけてきた。
「さぁ…!次はお前だ女…!」
狂気の笑みを浮かべながら私を見る男は、もはや国を守る存在に見えなかった。
私を殺そうとする、悪魔にしか見えなかった。
どうする…!?お兄さんがやられて、私しかいない…!
私は流石にお兄さん程強くないし、私に…こいつが止められるの…?
するとさっきお兄さんに言われ言葉が頭を過った。
「止めたい、おかしい、守りたい。その気持ちがあるんだったら、とにかく自分が進みたい方に進むべきだよ」
そうだ…。守りたいものがあるんだったら、私1人でもやらなきゃ!
私は刀をギュッと握り締め、地面を蹴って男に向かって走り、刀を男の頭めがけて振り落とした。
「ふんっ!」
攻撃はガードされてしまったけど、私は迷わず次の攻撃へ移す。
この人と私だったら、体格ではまず勝てないので、とにかく攻撃回数を多くして、チャンスを見つけるしかない。
するとその時、足元のガードがほぼ無い事に気付き、私は男の脛に一撃を思いっきり食らわせた。
「うぐっ!」
「!!!」
やった!届いた!私は心の中で舞い上がったが、その油断した瞬間、男は私を思いっきり振り払うように突き飛ばした。
「わっ…!!!」
突き飛ばされた勢いで私は近くにあった積まれた木の箱に叩きつけられた。
幸い、直前に受け身の姿勢をとったおかげで重傷は免れたけど、意識が少し遠くなってしまった。
「残念だったな小娘…!これで終わりだ…!」
悪魔のような笑みを浮かばせながら、男は私に近付いてくる。
このままじゃ本当に殺される…!
命の危険を感じたその時だった。
「うがあっ!!!」
男が突然右へ突き飛ばされ、地面に勢いよく転がった。
何かと思って起き上がると、そこには…
「ふーん…。この国にもそこそこ骨のある奴がいるんだな?」
さっきやられたはずのお兄さんが、首をコキコキと回しながら立っていた。




