表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第1章 アラク
23/215

予感の的中②

 盗み聞きした話の内容はこうだった。

 アラクの犯罪の大半は、この地下街の住民が犯しているものであり、彼らは教養もない、知能も低い、努力の機会を与えても結果に繋がらないのだから、生きている意味などない。


 だから、火を放って地下街ごと燃やし、街と住人を滅ぼしてしまう事で、この国をより良くしようというものだった。


 …1から100まで、何を行っているのか全く分からない。

 そもそも、そんな彼らをこんな風になるまで追い込んだのは、そんな政策ばかり行っていた政治家・政府側だし、そんな人に「努力が足りない」「甘えだ」なんて言ったところで、何も変わらない事なんて、考えれば分かるのに…!


 そして何より、「火を放つ」という言葉に戦慄した。

 確かによく見ると、彼らの足元には何十個ものタンクの様な物があり、恐らく中身は…石油や車のエンジンで、これを街中にかける事で街を火の海にするつもりなんだろう。

 そうなると、ヘンリー達はもちろん、ヘンリー達の家族や、みんなの命が…!


 思わず隣にいたお兄さんを、泣きそうな顔で見つめる。お兄さんも私の目線に気付き、私の顔を見つめる。

 「ね、ねぇ…火、放つって…。ど、どういう事?

本当だったら、ど、どうしよう…」

 心臓がバクバクと鳴るせいで呂律が上手く回らず、うまく言葉が出ない。

 「ねぇメリッサ」

優しい口調でそう呼びかけると、お兄さんは私にこう言ってきた。




 

 「大切な人を、守りたい?」

 その質問に私は迷わずこくんと頷くと、お兄さんはそんな私を見て、フッと笑って言った。

   


 

 「止めたい、おかしい、守りたい。その気持ちがあるんだったら、とにかく自分が進みたい方に進むべきだよ」


 えっ?と拍子抜けした私の手を引き、物陰から出たお兄さんは、突然高くジャンプしたかと思ったらその瞬間、自衛官達の1人の腹に飛び蹴りを食らわせ、一撃で気絶させてしまった。

 そして何だ何だと動揺する自衛官達の反応より素早く動き、長い足を弧を描くように蹴り上げると、そのまま別の自衛官の頭に蹴りを食らわせ、1人、また1人と気絶させ、この10秒間でお兄さんは自衛官を3人も気絶させてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ