不穏な予感
また日曜日がやって来た。
この日も昼食後に地下街のみんなと、お兄さんと遊ぶ…ではなく、今日はいつもと違うスケジュールになった。
金曜日に担任から「いつもは2人いる保健室の養護教諭のうち1人が胃腸炎になってしまって、日曜日は部活の練習がある生徒が多いので、リンドグルツが保健室の補助に入って欲しい」と頼まれたのだ。
…いや、何で私にそんな事頼むんだ。それが率直な感想だった。確かに去年保健委員をやっていたし、ある程度の怪我のケアなどはできるけど、もう少し他に良いアテはなかったのか。
…そういえば、うちの担任、養護教諭に片思いしてるっていう噂があったな。…いくらその人を気に掛けていても、私を何でも屋みたいに使わないで欲しいものだ。
ともあれ、断るのも薄情な気がして、とりあえず地下街へ行って今週の分のパンを子供達に渡し、今週はお兄さん1人で見てほしいとお願いし、私は日曜日の学校へダッシュした。
子供達もお兄さんも、「日曜日なのに大変だね。」と優しく気遣ってくれて、良かったと胸を撫で下ろした。
日曜日の保健室は、想像以上に忙しかった。
運動部の生徒達が結構な頻度で怪我をするし、他にも脱水症や絆創膏などの道具の貸し出しなど、こまごまとやる事が多い。
嵐の様な午後をやり切り、時計を見ると時刻は最終下校の7時近くになっていた。
養護教諭から感謝の言葉を頂くと、私は帰宅する事にした。
疲れたなぁと考えながら道を歩いていると、ある事に気が付いた。
スマホがないのだ。
いつもブレザーのポケットに入れているのに、ない。
血の気が引いた様な感覚になり、記憶を遡らせる。 確か保健室にスマホを置いた記憶なんてないし、そう考えると…地下街に忘れてきた?
スマホがないのは、課題が出来ないのもあってかなり困る。
あるかは分からないけど、何か分かるかもしれないと思い、私は急いで地下街へ向かった。




