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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第4章 芸術の都・ケルンセン
189/215

車上での戦闘

 「ふひひっ……!まさかこんなに高報酬な案件が舞い込んでくるなんて思わなかったなぁ!」

 「あぁ!しかも乗客は歌姫とその友人しかいないらしい!弱い奴らを仕留めて金が入るなんて、こんないい話ないぜ!」

 草原の中、風を切るように走る高級列車の上で、高級列車とは不似合いな全身真っ黒な服装に身を包んだ男たちが、槍を車内目がけて何度も突き刺していた。

 男たちは顔も目以外に黒い布を巻いていた為に表情はよく分からないが、それでも布越しでも分かるくらいには卑しい笑いを浮かべていた。


 「そういやぁ、車内に送り込んだあいつ、まだ帰ってきてねぇのか?」

 「あぁ、そういやあいつ遅いな?まぁ別に帰ってこようがこなかろうが問題はな……」

 そう言い切ろうとして、その言葉は突如として不可能になった。

 何故なら、向こうで待機していた仲間がここまで飛んできたからである。

 「はっ……!?な、なんだよおい!」

 「確認もしてないのに死んだなんて、殺しの意識が低いんじゃないの?」

 

 がばっと顔を上げると、そこにはこの場に似つかわしくない、焦げ茶色のポニーテールに制服、手には刀という、何とも奇妙な姿をした少女が立っていた。

 少女が持っている刀には赤い液体が付着している。恐らく自分たちがこちらに集中している間に少女と交戦し、ここまで飛ばされたのだろう。

 「はぁ!?歌姫の連れが戦えるなんて聞いてねぇぞ……!」

 「おい落ち着け!相手はガキだ!それにこっちの方が大人数なんだ!勝てるに決まってるだろ!」

 男たちはぎゃあぎゃあと言葉を交わすと、槍や剣を持って一斉にメリッサへと襲い掛かった。


 「(ここは列車の上……。足場も悪いし、自由に動ける訳でもない……。だったら……)」

 メリッサは男たちの動きをよく観察し、男たちの攻撃範囲に入らないであろう、足元へ勢いよくスライディングすると、そのまま男たちの足を斬りつけた。

 「ぐあっ……!?」

 斬りつけられた傷が思いのほか深かったのか、男たちは斬りつけられてバランスを崩し、そのまま列車の上から落下してしまった。

 一対大人数ということもあり、警戒して臨んだメリッサだったが、男たちは思いのほか動きに連携がなく、死角を狙って攻撃した結果、案外簡単に討伐できてしまった。

 

 「……列車の上はこのくらいかな?セレーネたちが心配だし、そろそろ……」

 車内へと戻ろうとした時、思わず最初に討伐した殺し屋の遺体を蹴ってしまった。

 しまった……と思ったその瞬間、私はあるものに気が付いた。

 殺し屋の服装に、鮮やかな色の髪の毛が一本絡んでいたのである。

 普通一本で髪色なんて分かるのかは微妙だが……それでもこの髪色は、一本でも分かるくらいに濃い色をしていた。

 恐らく赤……?オレンジ……?と思ったまた次の瞬間、殺し屋の遺体は何かによって引っ張られ、そのまま車外へと放り出されしまった。

 「えっ……?」

 「何やってるのメリッサ。早く戻ってきなよ」

 そう言って車上へとやって来たのはケントだった。……あぁ、ケントが水の精霊の力で追い払ってくれたのか……。

 「そっちは終わったみたいだね。こんな不安定な場でも戦えるなんて、さすがメリッサだ」

 「私は全然……。ケントは大丈夫だった?あと、セレーネたちは……」

 「大丈夫。あいつらそんなに強くはなかったし、あの歌姫もナディアが守ってくれたしね。あと、あいつらは精霊たちが協力してくれたおかげで、全員放り出しといたよ」

 

 無事なら何よりだ。そして相変わらずケントの水の精霊の力は強力だ。

 ……でも私は、今この瞬間で、この殺し屋たちと戦ったことよりも気になることができた。

 あの鮮やかな髪の毛。見た感じ、あの殺し屋の髪の毛ではなさそうだ。

 どうしてそんなものが、あんな風に絡みついていたんだろうか。

 妙な不信感を胸に、私はセレーネの状況確認をするために車内へと戻った。



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 しばらく更新ができず申し訳ありませんでした。

 体調のほうがあまり優れず、なかなか作業に取り組めませんでした。

 久々の更新ですが、諸事情によりまたしばらく更新ができなくなります。

 ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

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