お兄さんと過ごす週末
それからというものの、次の週、そのまた次の週と、子供達に加え、お兄さんと一緒に過ごすようになった。
お兄さんは人当たりが良くて優しくて、それと何より、私にない考え方をたくさん持っている人だった。
「何でそんなにバイトのシフト入れてるの?」
「…将来に備えてのお金を貯める為…かな。私、親がいないから」
「…他にサポートしてくれる人はいないの?」
「…いるはいるんだけど…。でもすごく申し訳なくて、いつも月に1回、手紙と一緒にお金が送られてくるんだけど…申し訳なくて貯金に回せない…」
「いつかメリッサが稼げるようになった時、その時全額返金すれば大丈夫なんじゃないの?」
「うーん…でも、その手紙にも『お金は返さなくて大丈夫』って書かれてあって…」
…何でこのお兄さんに悩み相談なんてしてるんだろう。この人といると、何故か自分の思っている事を全て吐き出してしまう。
「…ふーん、メリッサの事が大事なんだね、その人」
この人もこの人で、私の言う事を全く否定してこないので、相乗効果になってしまってる。
それにしても、本当に整った顔の人だなと改めて思った。あの時は女性的に見えたけど、こうしてよく見ると肩幅は割と広いし、大きく骨ばった手を見ると、一瞬で男性だと分かる。
金髪碧眼に優しげな雰囲気の…子供は頃に想像した王子様みたいな人だなと思ってしまった。
「…なーにじっと俺の顔見てるの」
「…えっ、あっ、ご、ごめんなさい。金髪の人ってほとんど会った事なくて、それで気になって…」
「ふふっ。そーかそーか。何かメリッサって面白いね」
…何というか、時代が違ったら国を崩壊させそうな何かを持った人だなと思ってしまった。
…でも、すごく居心地が良い。
こんな時間が、ずっと続いたら良いのに…。
…あれ、私、お兄さんの名前聞いてない…?




