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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第3章 花の都・ロレーヌ
141/215

向かう

 川での事件を経て、私達はアデルとナディアの元へと戻った。


 「おー、お前ら。お帰りー……って、すげぇ。ケントが男の姿に戻ってる……」

 「ほんとだー。ケント万能〜」

 ケントの変身ぶりにアデルとナディアが私と同じような反応をする。

 

 「……さて、ロレーヌの最難関地点を通過できたわけだから、俺らがあとやるのは……」

 「うん、首都へ行って、総統を倒す。それ一択だね」

 アデルは一度国のトップを倒している経験があるので、比較的落ち着いた態度で話しているが、ナディアはここまで4人の力だけで来れたのが意外だったのか、声に少し、ほんの少しだけ戸惑いと不安が見える。

 明るくて自信に溢れたナディアでも、つい先日まで普通の女の子だったんだ。そうなってしまってもおかしくはない。


 「……まさかここまで来れるなんて思ってもなかったな。でも、ここまで来れたんだから、もう絶対に引き返さないよ。総統を倒して、この国の古い価値観を壊す。私頑張るよ」

 ナディアがさきほどの戸惑いの気持ちを振り払うようにそう言うと、私達は全員の顔を見渡した。


 その時だった。

 アデルとナディアの顔を確認した流れでケントと目が合ってしまい、そういえばさっき思いっきり突き飛ばしたけと、謝罪はしたっけ?とか、いきなりあんな事されたら下手したら軽蔑されてもおかしくないだろうとか、そして何より、私がこんなに気にしている事をケントがあまり気にしていない感じが余計に罪悪感と気まずさを増した。

 

 ケントと目が合って約1秒の間にこれだけの事を同時に考えて、私はケントから目線ごと思いっきり顔を逸らした。

 その逸らす時の勢いの良さにアデルとナディアはぎょっとし、何だ何だと言わんばかりの顔で私を見てくる。


 「え……?どうしたんだよメリッサ……」

 アデルが戸惑った顔で私を見てくる。

 「な、何でもない……ちょっと虫が横を通ったから、それを躱す為……」

 メリッサのこの返答を聞いて、アデルとナディアは内心「いや、嘘下手すぎるでしょ(だろ)……」と、あっさりと嘘を見破っていた。

 

 そんなこんなで、私達は残り少ないルートを歩いて、首都へと再び向かった。

 歩いている時、ナディアが私達に話し掛けてきた。


 「ねえ、みんな」

 「ん……?何だよ」

 「ないとは思うけど、もし追い詰められるような事があったら、すぐに私を呼んでね。私、力だけなら絶対誰にも負けないから」

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