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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第3章 花の都・ロレーヌ
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力の精霊?

 アデルの発言に、頭の中が「?」で溢れた。

 精霊の力だったらライプチヒでアデルから教えて貰ったし、威力もアリウムや国家精霊部隊との戦い、そして何より、ケントとアデルという天才的な精霊の力の持ち主が仲間にいるので、その辺りは精霊がいない国家・アラクの出身である私もよく理解している。


 けれども、精霊の力は雷とか水とか、自然に関係する力が多いので、「力の精霊」という、自然とは何の関係もなさそうな言葉にまた再び思考がバグりそうになった。

 

 「えっと、アデル…。力の精霊って何?」

 少しでも疑問点を減らそうと、今のうちにアデルに質問する。

 「あぁ。お前は自然系の精霊の力しか知らねぇよな」

 精霊にまだ完璧に詳しくない私に気付いて、アデルは視線をナディアから私へと移す。


 「力の精霊っていうのは、俺が複数の精霊の力を持っているのと同じで、低確率で生まれてくる、希少で特殊な精霊の力の一つだよ。

 精霊の力が水とか雷とか、自然系の力を貸すのに対して、力の精霊は使用者の筋力を常人の何倍…いや、何十倍も増幅させて、人間離れした怪力を与える。まあ要は、使用者をとんでもねぇ怪力にさせる力だな」

 「へぇ…」


 …なるほど。確かに、どう考えても人間じゃない程の力だけど、精霊の、この世の理解を超えた力の一つだと言われれば、十分理解できる。

 「けど力の精霊は、強烈な怪力を使用者に与えるけど、見た目は普通の人間と変わらねぇ。だから初見じゃ分からねぇ…というか、気付く事も出来ねぇだろうな」

 あぁ。だからナディアは、とても小柄で可愛らしい、アンティークドールのような外見をしているのか。

 でもそれはそれで安心する。何せ、もし力が見た目に反映されてナディアが筋骨隆々だったりしたら、見た目はほとんど気にしない私でも接し方に少し戸惑ってしまうかもしれない。

 

 「…かと思ったんだけどさ、合ってんのか?」

 「…うん。合ってる。私は力の精霊の力を持ってるよ」

 本人の口からそう出たという事は、アデルの推理は正しかったらしい。けれども、希少な精霊の力を持つ2人がこの場にいるって、何だか凄い状況だな。

 するとナディアが「でも…」とゆっくり口を開いた。

 

 「いくら私が力の精霊の使い手でも、女の子に『怪力』なんて言い方しないでよ!デリカシーない!」

 「はっ!?」

 ナディアがアデルに対してムスッとした顔で怒り、それにアデルが困惑した表情になる。

 「だったら何て言えばいーんだよ!」

 「分かんないけど!怪力はやめて!」

 「分かんねぇのかよ!」


 ぎゃいぎゃいと言い合いをする2人をハラハラしながら見つめ、仲裁に入ろうとしたらケントに「大丈夫」と笑顔で止められた。

 「だいじょーぶ。あーゆーのは言い合いはしても最悪の事態には絶対ならないから」

 「え…。それって…」


 「うん。『喧嘩するほど仲が良い』タイプだよ。あの2人。気が強い2人が出会う事で起きる、必然的な化学反応」

 適当過ぎるケントに「はは…」と苦笑いを浮かばせながら、とりあえず言い合いが落ち着くまでは待っておく事にした。


 

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