ピンク髪の女の子
状況が落ち着いたので、さっきは全く気にしていなかった女の子の容姿を確認する。
桜みたいな鮮やかなピンク色のセミロングで、髪は緩く巻いて黒いリボンでツインテールに纏めている。
服は襟元に蝶結びに結んだ黒いリボンが付いた長袖の白いブラウス、ボトムスに裾に白いフリルが付いた、膝上5cmくらいの黒いコルセットスカートを履いていて、その下には黒タイツと黒いミドルブーツを履いている。
あとさっきはこの子を助ける事に集中しすぎて全く目に入らなかったけれど…背中には何故か彼女の背中を覆う位の大きさの、楽器ケースのような茶色い箱を背負っている。
服装だけ見ればなかなか地雷系に片足突っ込んでいそうなファッションだったが…それでも地雷系と感じなかったのは、彼女の顔立ちが大きいだろう。
濃い桃色のぱっちりとした大きな目で、鼻筋の通った目鼻立ちのハッキリとした顔立ちをしている。白い肌と唇にはピンク色のチークとリップが施されていたけれど、そんな化粧がなくても分かるくらいの天然美少女だと一目で分かった。
他にも、先程の男性達にも一人で毅然と立ち向かった気の強さや、初対面の私達にも人見知りしないで愛想良く接するその態度や印象が、地雷系特有の「踏み込んではいけない」という感じを一ミリも感じさせず、本当に、心根から明るくて元気な子なのだと実感させられた。
「この町じゃ初めて見る顔だけど…。この国の人?あっ!私、ナディア!ナディア・ランベールっていうの!」
「俺はケント。こっちはアデル。アデル・シュナイダー」
「ケントにアデルね!ケントは私より多分年上だろうけど…。アデルは多分同い年くらい?」
…すごいな、この子。人見知り?何それ?と言わんばかりのフレンドリーな態度で2人と接している。
ケントはいつも通りだけど…アデルは初対面の人には割と人見知りだからか、ナディアの根っからの陽キャといったテンションに少々たじたじになっている。
「おいメリッサ…何だよこの新種の人間は…」
小声かつ少し困った顔で私に話し掛けてきたアデルに苦笑する。確かに、人の悪意や嫉妬の感情の中で長い間過ごしてきたアデルには、この子の純粋に明るい態度が初体験なのだろう。新種の人間に遭遇すると動揺してしまうのは仕方のない事だ。
「あっ!ねえ!あなたの名前は?」
ナディアが私の目を見ながら好奇心全開で聞いてくる。
「あぁえっと…。メリッサ。メリッサ・リンドグルツ…」
「メリッサっていうんだ!おしゃれな名前!メリッサは…私より少し年上くらい?」
…あぁー。なるほど…?アデルがたじたじになってしまう理由が少し分かった気がするぞー?
今までの人生で会った事がほとんどない、真の陽キャに私も早くも押され気味になってしまった。
「…でも何か初めてかも。メリッサみたいな同年代の子に会うって」
「!」
そうだ。さっきから凄く気になっていた事がある。
「ねえナディア」
「んー?」
「何でこの町は、ナディアと私以外の女の人がみんな、同じ髪色をしてるの?」
その質問をされたナディアは大きく目を見開き、私達3人の顔を見回した後、何かに気付いたような表情になった。
「…なるほど。うん。大体は分かったかも。みんなが何を知りたいか。
分かった。教えるよ、この国の事を」
こうして私達は落ち着いて会話する為に、ナディアの家があるという隣町へ移動する事になった。




