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コンフロント・マイノリティ  作者: 珊瑚菜月
第3章 花の都・ロレーヌ
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何で私だけ?②

 その後も同じような目に遭遇した。


 ベンチに座って2人と会話していると通りすがりの老人から杖で指されながらながら「醜女!」と罵倒されたり、近くで遊んでいた小学生くらいの男の子の集団からわざとボールをぶつけられたり(アデルがすぐにキャッチしてくれて、当たりはしなかったけれど)、一番驚いたのは…。


 「おい!何やってんだよお前ら!」

 アデルが男の子達に向かってボールを思いっきり投げ返し、ボールが男の子の顔面に直撃し、当てられた男の子が若干涙目になっている。

 「ちょっ…!アデルやり過ぎ!何やって…」

 まさか自分よりも明らかに年下の男の子に対してやり返すのも意外だったし、アデルはハイデルの村の山賊に攫われた子どもとの事もあったので、子ども好きで子どもには優しいと思っていた。

 なのでそんなイメージを全て壊すかのようなアデルの行動、及びシンプルにやり過ぎな行動に思わず焦る声が出た。

 「はっ。あの時は状況が状況だったし、俺も子どもは好きだけどさ。わざとお前にボールぶつけるような計算高い奴に優しくする義理ねぇよ。そんな奴、子どもっていう都合の良い皮を被った性悪野郎だろ。あと俺、やられたら基本的にやり返す主義なんだよ。」

 …うわぁ出た。アデルの毒舌理論。

 この毒舌理論には感銘を受ける時もある時はあるが、理解が追いつかない時も同じくらいある。恐らくアデルとは、似ている所もあるが根本的な気性や人に対する態度が違うのだろう。


 「そーだね。それについては俺も同意」

 いつのまにか隣の席から消えていたケントの声が後ろから聞こえてきて、思わず振り返ると、そこにはケントがいた。…ナイフを持った子どもの手首を掴んで。

 今目の前で何が起こっている?と動揺しつつ、冷たい表情でナイフを持った方の手の手首を掴みながら子どもを見るケントと、放してと言わんばかりにジタバタするも、自分よりも体格の良い男を蹴飛ばせるくらいの力を持ったケントには歯が立たず、ただ情けない姿を晒す子どもという、何とも言えない状況にぽかんとした。


 「…このお姉さんに何しようとしたんだ?」

 ケントは地声は低めだが、それよりも低く、誰が聞いても分かるくらいの冷たい怒りを含んだ声で子どもに問いかける。そんな風に聞かれたら、子どもどころか大人でも怯える。

 「ごっ、ごめんなさい」

 「今は謝って欲しいんじゃない。何をしようとしたか聞いてる。あと謝るのは俺じゃなくてこっちのお姉さん」

 子どもの謝罪も一蹴して、変わらず威圧感のある口調で問い詰める。

 「だ、だって…。







 


 美しくない人は、何しても良いんだって、パパが…」

 

 

 



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