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4.神々の祝福<ギフト>を得る

どうしてかは、その時にはわからなかった。

だけど、不思議と、スライムを食べても、もう大丈夫だという事がわかった。

誰かに言われたわけでも、声が聞こえたわけでもない。

でも、まるで昔から知っているみたいだった。


後で聞いたけれど、こういう力を<ギフト>というらしい。

神々からの祝福、贈り物という意味だという。

スキルなどにも似ているが、最も違うのが、スキルは努力で習得するのに対し、ギフトはまさに神の示しのように突然得られるという類のものらしい。

そして、それが与えられた場合は、その効果を知覚するのだそうだ。

感覚としては、”閃き”に近いものらしい。


僕に与えられたギフトの効果は、「食べたモノを吸収すること」らしい。

先ほどは、スライムを食べて吸収することによって、何か耐性のような物を得たんじゃないだろうか。


ギフトの中には、鉄よりも身体を固くしたり、山をも吹き飛ばすような魔法を使えるような凄い物もあるらしいが、今の僕にとっては、このギフトは天啓に違いない。

このままでは、もう餓死するしかない状況だったのだから。



僕は、残りのスライムを一気に啜った。

先程のような、喉の痛みや腹痛はしない。

ただ、味は相変わらず土臭く、食感もよくない。おそらく異物が混じっているのだろう。

それでも、喉の渇きを抑えることが出来たし、腹も膨れた。

ほとんど、水分みたいなものだから、腹持ちはしないだろうけれど、本当に久しぶりに腹を満たすことが出来た。


「ふぅ・・・」

安堵のため息が自然と出る。

まだ深い森の中に一人。靴も満足にないような環境で、実はなにも状況は改善していない。

それでも、何かを口にすることで生きているという実感を得ることが出来た。

草むらの上で大の字に寝転がる。自然と涙がこぼれた。



ところが、空を見上げながら生を噛みしめていると、今度は腹の中から血液が急に熱くなるのを感じた。

「おかしい。スライムはもう平気なはずなのに・・・」

根拠などないし、ギフトを得たものしかわからない感覚だが、そう知っていた。

だけれども、身体がおかしい。顔が火照り、全身の血が勢いよく巡るのがわかる。

そして、頭が茹るようにボーっとしていく。

そして、全身の体温が一気に上がったと思った瞬間、僕はまた意識を失った。


・・・・


太陽の眩しさで、僕は目覚めた。

えらく、頭がすっきりとしている。

そして、気が付くと昨日まであんなに痛んでいた足や、手枷の擦れた跡などがまったく痛まなくなっている。それどころか、傷口まで綺麗に治っていた。


何が起きたのか、昨日のことを整理してみる。


スライムを啜ったあと、僕は意識を失った。

そして、起きたら身体の傷などが全て癒えていた。

スライムに、そのような効能があるのだろうか・・・?

そう思ていると、突然閃いた。


「もしかして、魔石・・・か?」


魔石というのは、魔物の心臓のようなもので魔物の急所であると同時に、魔素というエネルギーの集合体だ。スライムも魔物であるので、魔石を核に持っている。

とはいっても、最下級に近い魔物なので、純度も低く小指の爪にも満たない小さなもののはずだ。

それでも、ちょっとした魔道具の起動には十分つかえる代物だ。

おそらく、スライムと一緒にそれを吸収したのかもしれない。そう思った。


僕はこの時、まだ気づいていなかった。

5歳の子供がこんな思考能力が高いわけがないことに。






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