8話 通称ゴミ棄て場
今回はいつもより少し長くなってしまいました。
気がつくと幽莉はパソコンの前に立っていた。
隣にはコオリがいて、目の前には先ほど突然現れたサイバーな感じのする少女が椅子に座っていた。
「どーも、キララ姫ちゃんでーっす。気軽に姫って呼んでくださいね。ミャハ」
気軽と言ってるわりには姫と呼ばせようとする姿勢はとても図々しいと幽莉は感じた。
「キララ、、、姫?」
「もー、幽莉っちの意地悪。姫って呼んでくれないとキララ泣いちゃうぞ」
うえーんと誰もがわかる嘘なきをしながらキララ姫が言った。
コオリが耳打ちする。
「話が進まん、良いから姫と呼んでやれ」
「ひ、姫」
そう言われ戸惑いながらも幽莉はそう呼んだ。
キララ姫ちゃんを残して部屋を出て案内されるとそこは食堂だった。
食堂に入るとそこには何人かの先客がいた。
裸で四つんばいになり首輪をつけた女。
その首輪から伸びた鎖を左手で握り、右手に持ったナイフでテーブルの上にある肉を食べる太った大男。
何もせずただじっと椅子に座っている眼鏡の男。
その眼鏡の男に向かい合わせて座っている笑顔の男性。こちらの男性は白いカップを手に取り何かを飲んでいるようだった。
いかにも身体に悪そうな色をした生クリームを食べている、白髪まじりの黒髪をした男。何故か包帯で右目を隠していた。
そして、そんなテーブルの間をうろうろしているウェイトレスの女の子が一人いた。
幽莉がそんな面々を見回していると
「ん、何だやっと来たのか」
食堂の奥の方にあるカウンターの向こうから気だるい声が聞こえてきた。
「ただいま戻りましたマスター」
カウンターの奥にいる男に向かってコオリが挨拶をした。
マスターと呼ばれているという事はここの主だろうか?
「お邪魔します」
幽莉はマスターと呼ばれたその男に向かって挨拶をした。
「まあいいから、こっち来て座れば」
マスターにそう言われて幽莉とコオリはカウンターに向かって歩き、そして座った。
「お水をどうぞ」
小さな女の子の声がして透明なコップに入ったキンキンに冷えた水が差し出される。
「おしぼりをどうぞ」
今度は小さな男の子の声がして暖かいおしぼりが渡される。
「すまないな」
コオリが言い
「ありがとうな」
幽莉も礼を言うと、なんとなく声のした方を振り向いてみた。
するとそこには小さな双子のゴブリンが立っていた。
「な・・・」
正直幽莉は驚いた。
そしてマスターがこう言った。
「ようこそゴミ棄て場へ」
「確かに素質は十分あったよねー」
パソコンのモニターを見ながらキララ姫ちゃんがひとり呟いた。
そのモニターの中には無残にもモンスターに殺されるクロード=フォン=ヒーローの姿が映し出されていた。
「死んだか」
ミーアが呟く
「やっとかって感じだよねー」
アリシアが言った。
「そうだな」
「何でこいつ私達について来てたんだろう?」
「知らん。が、コイツが近くにいるだけで何か酸っぱい匂いだしたな」
「それだけじゃないよ。何かとにかく臭かった」
「色々なものを混ぜたような腐った臭いだったな」
「ゾンビよりも臭い息」
「常に身体から立ち昇る湯気」
「それに頭が」
「頭が」
二人は声を合わせて言った。
「かなりキテた」
さて、そんな二人に放置されたクロードの魂はというと
「此処は一体?」
目が覚めるとベッドの上にいた。
自称三十見た目四十代で彼女いない歴=年齢で元いた世界では何処かパッとしなかったクロードはなんと加齢臭がなく内臓も健康的で引き締まった身体。頭にはフサフサの髪が生えている。そんな十代の少年に転生したのである。
「おっと目が覚めたか少年」
そう言ったのは今のクロードから見て年上の女性だった。
「ふむ、熱はないようだな」
おでこ同士をくっつけてそう言った。
女性の胸がクロードに当たる。
その時クロードの股間が大きく膨らんだ。