6話 コテコッテー国の伝説
コテッコテー国。この国に伝わる古よりの伝説。
この世界が魔王に支配され、闇に飲み込まれそうになりし時、遥か彼方より次元を超えやってきた転生者が元いた世界では考えらないくらい身体能力が強化され、チート能力を手に入れ、見た目も何処か良くなり、何故か女の子にもモテモテになって
元の世界ではどう考えても捨てられなかったであろう童貞すら捨てられるようになり
そんな異世界からやってきた元童貞勇者が魔王を討ち滅ぼし
世界を平和にするであろう。
そんな伝説がこの地には残っていた。
それなのに、それなのに
アレはどう考えても違う。女の身体を熟知していた。
今回いじられたのは胸だけだったが、もしも違っていたら
他の場所を攻められていたら
一体どうなってしまったのだろうか?
自分とは違う場所を攻められていたミーアに少しムッとした。
「勇者様はもしかして女性経験がおありなのですか?」
アリシアに言われて考えた。
死ぬ前。つまり地球での事であるのなら、クラスの学級委員。教育実習で来た女子大生。保健室の美人教師。妹の同級生。近所に住む幼馴染の三姉妹。それにアパート暮らしをしているOL。その他にも様々な女性と関係を持った事がある。
「こうなる前にはそれなりにあったな」
「っざっけんじゃねえぞテメエ」
突然声を荒げたのは他でもないアリシアだった。
「せっかくこの私が召喚してやったのに」
「童貞じゃないだと?」
「これじゃ伝説と違うじゃねえか」
「良いか、異世界召喚をするのには膨大な魔力が必要なんだよ」
「テメエにわかるか?」
「わかんねーだろ」
「私の人生はもう終わりだ」
「テメエなんかこの世界からいなくなれ」
「テメエはこの世界にとって不適合な存在だ」
「そうか、それは都合がいいな」
そう答えたのは幽莉でも、勿論ミーアでもなかった。
気がつくと部屋の中に少女が一人立っていた。綺麗な金色の髪を右耳の上で一本に束ねている、碧眼の少女。
見た目こそ違ったものの幽莉の唇からは自然とその言葉が漏れた。
「氷室小織」