5話 宿屋の夜
壁一枚隔てた隣の部屋から聴こえてくる妙に色っぽい声でクロードは目をさました。
自然と手が自らの下着の中に入っていく。神経を研ぎ澄まし、隣から聴こえるアリシアとミーアの声を聴きながら手を動かした。動かしたがどうにもならなかった。
クロードはベッドから起き上がると自分の荷物の中から小瓶を取り出すと、その中身を一気に飲み干した。
はぁはぁと肩で息をしながらアリシアとミーアの二人はベッドの上で果てていた。
アリシアの方は上半身がはだけその豊満な胸があらわになっていた。
ミーアの方はというと下着が膝の辺りまで下げられていた。
そして、そんな二人を幽莉は見下ろしていた。
「勇者、様?」
アリシアが問いかける。
幽莉は腕を伸ばすとあらわになっているアリシアの胸を掴もうとした。しかし、その手はアリシアの身体を、その下にあるベッドをすり抜けてしまった。
「やっぱダメなのか」
幽莉はため息を漏らした。
「一体何を?」
アリシアは手で自分の胸を隠しながら訊いた。
「さっき能力に目覚めたみたいだからな」
「能力、ですか?」
「ああ」
そう言って幽莉が念じるとテーブルの上にあった羽ペンが宙に浮いた。
「勇者様?」
「どうしたアリシア。まだやるか?」
「いえ、その勇者様にお訊きしたい事が」
「何だ?」
一糸纏わぬ下半身を布で拭いていると突然目の前が光り輝いた。
眩しい。一体何事だ?
クロードがそう思っていると光の中から金髪の少女が現れた。
少女はクロードを見て一言こう言った。
「すまない。どうやら部屋を間違えたようだ。」