表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/35

3話 もう既に死んでいた

目の前にはいかにも凶暴そうなドラゴンがいて幽莉達を睨みつけていた。

どう考えても勝てない。そう考えていたらドラゴンが大きな口を開け炎を吐いてきた。

ああ、これで俺も死んだな。そう思い、諦め幽莉は目の前に迫る炎を避けようとはしなかった。

「勇者様。今です、覚醒してチート能力を出してください」

後ろでアリシアが叫んだ。

しかし、その声援のようなよく分からない何かに触発されてチート能力が発揮される事もなく。

どうせ死ぬならアリシアの、いや後ろにいる二人の胸でも触っておけばよかったなと、そう後悔したのと同時にふとした疑問が浮かび上がった。

アレ?そういえばどうしてあの時アリシアの胸を触ろうと伸ばした俺の右手はアリシアをすり抜けたんだ?

ふと自分の足元を見た。すると足の膝から下がなく、よく見ると体全体も何処か透けているような気がした。

「これって、もしかして」

誰にも聞こえないくらいの声で小さく呟いた。

ドラゴンの炎が幽莉の体をすり抜けた。

「俺は既に死んでいる?」

その声は、ゴオオオオという炎の音にかき消され誰にも届かなかった。

「凄い。勇者様の体を炎がすり抜けました」

アリシアが喜びの声を上げた。

「すべての攻撃を受け付けないチート能力か、これは強いかもな」

ミーアが感心した。

「でもコレって少しまずくないでしょうか?」

アリシアが呟き。あっと思った時にはもう遅かった。

ドラゴンの炎が二人を襲い、その一撃でパーティーは全滅してしまったのだ。

ちなみにクロードは人数制限でパーティーを外されていた為無傷で済んだ。


「コオリちゃーん」

幼い女の子の声が聞こえてきた。声のする方を振り返るとそこにはゴブリンの小さな女の子が立っていた。

「コオリちゃんが言ってた人の居場所がわかったよー」

そう言って自慢気にえへへとゴブリンの女の子は微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ