31話 地球の様子
透間莉香はその日、テレビを付けながら朝食を食べていた。テレビから流れてくる人口増加、食料不足と資源不足による人類滅亡の危機などの事を何となく聞き流していると
「アンタそろそろ行かないと遅刻するわよ」
エプロン姿の母親がキッチンの方から話しかけてきた。
言われてテレビ画面に映されている時間を見ると既に家を出るべき五分前だった。
「ヤバッ、遅刻じゃん」
そう言って残っていたご飯を口一杯に掻き込むと鞄を手に取り玄関に向かった。
「いっへひまーふ」
「食べながら喋るな」
キッチンの方から聞こえてくる母の言葉を背に受けて莉香は家を飛び出した。
誰もいない食卓のテレビでは今週の売れ筋小説ランキングが発表されていた。そのランキングには異世界転生チートハーレムモノがいくつかランクインしており、透間家の母はキッチンで食器を洗いながらそれを耳にしていた。
「異世界ねえ」
ったく、アニキのせいで遅刻しそうになったじゃん。そんな事を思いながら莉香は走っていた。バス停に辿りつくと先に来ていたクラスメイトの女子達が立っていた。
「おっはよー」
莉香が最初に声をかけると
「あ、莉香おはよ」
「おはよ。もうすぐバス来るよ」
それに気づいた二人が挨拶を返してきた。
「そういえば最近お兄さん見かけないけど」
「きっと何処かで女と遊んでんでしょ。あのバカアニキ」
「ええー、良いなー。私も遊んで欲しいよー」
そんな事を話していると中学校行きのスクールバスが到着した。
アニキの話題を出される度にチクリと痛む胸を押さえながら莉香はバスへと乗り込んだ。
透間幽莉と氷室小織がいなくなったクラスには二人と転校生が来ていた。一人は長い前髪をセンター分けにしている黒髪の男で、もう一人の男は眼帯をしていた。
二人とも美形だが何処か近寄り難いオーラのようなものを纏っており、女子達が遠巻きにそれを眺めていた。
「千種クン」
センター分けの方の男が眼帯の男に話しかける。
「何ですか小町さん」
「この学校はどうでしょうか?」
「気になるのはやはりアノ男ですね」
「大健吾クンですか」
そう言って二人が見た視線の先にはこのクラスでもひと際目立つ大男がちょこんと席に座りながら参考書を読んでいた。
「うっ」
突然が千種が眼帯越しに左目を押さえつける
「来ましたか?」
「はい」
白い巨大な人の形をした何かが壁に磔にされた部屋。その部屋にある椅子に男が一人座っていた。
デスクを挟んで前に立つ男に話しかける。
「今回の件、ご苦労だったよ」
そう言って男は不敵に笑った。
久々の投稿です。
今回から暫く週一くらいの感覚で投稿していく予定です。




