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28話 ウルフテイマー

今回はいつもより少しだけ長いです

ゴーレムが殴りかかり、ジェットが飛び掛り、レーンはただひたすらにそれを交わし続ける事しか出来なかった。

時にはゴーレムとジェットがぶつかり合い、また時にはゴーレムとジェットの攻撃がレーンの体を翳める事もあった。


「オラ、オラ、オラァ」

幽莉は怪鬼に馬乗りになりながら右手で殴り続けていた。殴る度右腕の黒が濃くなっていく

「やめろ、もうやめるのだ」

叫んでいるのはコオリだった。

「オラァアア」

叫んで渾身の一撃を叩き込むと怪鬼は消滅した。

怪鬼の消滅と共に幽莉は意識を失いその場に倒れこんだ。

「早くどうにかしなければな」

コオリの両脚が静かに疼いた。


「キャー」

レーンは悲鳴を上げながら目を逸らした。数秒の沈黙、おそるおそる見てみるとギリギリのところでジェットの牙は届いていなかった。

「グルルルルル」

ジェットが喉を鳴らし威嚇している。

「そんな、どうして?」

見てみるとジェットの体に植物が巻きついていた。

「神樹様?でも一体どうして?」

助かったと思ったのも束の間、背後からゴーレムに蹴り飛ばされたレーンは天井に激突してから地面に叩きつけられた。

「ゴフッ」

衝撃で吐血した。口の中も切ったようでヒリヒリと痛む。

倒れながら見たのは、死んだコフィカのバラバラになった死体から延び続ける植物の蔓だった。

「コフィー」

ゴーレムがまた迫ってくる。

「貴女が助けてくれたの」

ゴーレムが足をあげる

「ありがとうコフィー」

ゴーレムが足を下ろす。その間にも蔓は伸び続けており上げていない方のもう片方の足に絡まりついた。

ドシーンと音がしてゴーレムはバランスを崩して倒れてしまった。

蔓がレーンのところまで延びてきて目の前で一つの実をつけた。

「コフィー?」

実をもぎ取り口に入れると甘酸っぱいものが拡がった。


「んっ、うっ、、、」

レーンが目を覚ますとジェットがレーンの顔を舐めていた。

「ジェット様?」

見るとジェットの目は正気を取り戻しているようだった。

「目を覚ましたか」

「ジェット様一体どうして?」

「何も覚えていないのか?」

「神樹様の実を食べてそれから、、、」

そこからの意識は途切れていた。


「あぶなかった。アレは一体なんだったのだ?」

コオリと幽莉はゴミ棄て場のコンピューターで埋め尽くされた部屋に転がっていた。

「二人ともあぶなかったねー」

「姫か、おかげで助かったぞ」

「幽霊である俺を苦しめるとは、凄い風だったな」


時は流れ

テイマーパークの地下世界を駆け抜ける二つの影があった。

「本当に私でよかったのか?」

「またその話ですかジェット様?」

「様はいらない。新しいマスターよ」

「ジェット・・・」

「うむ」

「様?」

「・・・・・・」

「うー、やっぱり慣れないなー」

「これではどちらが主人かわからないな」

フッとジェットが笑った。

「確かに」

釣られてレーンも笑う。

二つの笑い声が地下世界にこだました。

その声に釣られたのかは定かではないが、目の濁ったモンスター達がやってきた。敵意をむき出して今にも襲い掛かろうとしてきそうだ。

「きたぞ」

「うん」

レーンが手をかざすと風が吹いてきてモンスター達を包み込んだ。そして、モンスター達から何か黒いものが出て行き正気を取り戻した。


やがてこの一人と一匹が銀の風と呼ばれるようになるのは、もう少し先の事である。



ひと際高い建物の天辺にそれは居た。目が異様にデカく鼻と口はそれに比べるとやたらと小さい。上半身は人の形をしているが、下半身に足はなく変わりに無数の触手が生えていた。触手は建物の外壁を伝ったり、割れた窓から中に入ったりして何処までも延びていた。眼前に広がる地上にも遠くに見える地平線の向こうにもこの世界の表面を覆い尽くすかのように何処までも何処までも

読んでくださり有難うございます。次の話は更に長くなります

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