20話 テイマーパーク
「そういえば幽莉」
幽莉とコオリが薄暗い中を歩いていると、コオリが話しかけてきた。
「なんだ?」
「貴様やけに落ち着いているな」
「どういう事だ?」
「あんな事になって普通はもう少し我侭になったり落ち込んだり、」
「バーカ」
「む、馬鹿とは何だ貴様。それに私は」
「わかってるよ。ありがとうな」
そう言って幽莉はコオリの頭にポンと手を乗せようとした。しかしその手はコオリの頭をすり抜けた。
洞窟の中を走るモノがいた。何かから逃げるかのように時々後ろを振り向きながら四つの脚でひたすら走り続ける。
幽莉とコオリが歩いていると、目の前にへたり込んでいる少女がいた。少女は壁を背にしながら何かぶつぶつと呟いている。
「なんだあれ?」
「少し近づいてみるか」
そう言って二人は少女に近づいていった。
近づくと少女の服や肌に多くの血がついており、凄く臭かった。
「アンタ、一人なの?」
そう言って声をかけてきたのは少女ではなく、少女の肩に腰掛けていた小さな妖精だった。
「いや、どう見てもふた」
幽莉が喋り、コオリが右手を挙げそれを無言で制した。
そしてそれを挨拶だと認識した妖精もまた右手を挙げた。
「私の名はコオリだ。そこにいる娘は一体どうしたのだ?」
「アタイはコフィカ。見ての通り妖精さ、そいでコッチがアタイのマスター」
「マスター?」
「そうさ、アタイのマスターでフェアリーテイマーだよ」
「それで、そのマスターとやらは一体どうしたのだ?酷く疲れているようだが?」
「いやー、それがさーさっきスッゴイの見ちゃってさー」
ズルリと音を立て上半身の皮が剥がされる。ある者は悲痛な叫びを上げ、またある者はその痛みに耐え切れずショックで絶命した。
剥き身になった上半身のみを食べ、残った下半身は地面に捨てていた。
その怪鬼の足元には多くの下半身それと、中身を無くした上半身の皮が無造作に散らばっていた。
「やめろ、こっちへ来るでない。おい貴様ら目を覚まさんか」
怪鬼に迫られた少女は尻餅をついて後ずさっていた。立ち上がり走って逃げようにも腰が抜けてそれが出来ない。突然背中に何かが当たった。おそるおそる振り返るとそれは壁で、少女はそれ以上後ろに行く事が出来なかった。
怪鬼の左手が少女に迫り、もうダメだと思ったその時だった。白銀の閃光が怪鬼の背後より迫り、三つの軌跡がその背中に傷跡を残した。
怪鬼が振り向くと、そこには白銀の毛並みをもつ一匹の獣が四つの脚で立っていた。




