17話 太妖
気がつくと小織は頭を捕まれ持ち上げられていた。地面にはバラバラになったナナシとボロボロになったシキが倒れていた。
息をするのがやっとだった。呼吸が乱れ声に出せない。
「何か言いたそうだな」
透間幽莉に似たモノが小織を持ち上げながら言った。
お前は一体何だ?そう言いたかったが恐怖で声が出ない。だから睨みつけた。
「俺は」
頭を掴んでいる右手に力を込める。
「ガッ、ハッ、」
口から血と唾液が飛び出る。
「タイヨウ」
そう言って顔にかかった血と唾液をぺロリと舐める。そしてニヤリと笑いこう言った。
「太妖だ」
アルコールの匂いで目が覚めた。気が付くと小織は、いやコオリはベッドの上にいた。
「どうやら目ェ覚めたみたいだな」
そう言って頬を赤らめた白衣の女がコオリの顔を覗きこんできた。息が顔にかかる。酒臭かった。
「また呑んでるのか」
「ちょっとだけだ気にすんなよー」
ガハハハと笑いながらバシバシとコオリのおでこを叩く。
「いっイタ、痛いぞバスコ」
「そんだけ元気なら大丈夫だろ」
「ほら、立った立った」
そう言われてベッドから立ち上がる。少し肌寒い気がした。
視線を感じた。
「気にするな。俺はお前の裸に興味はない」
声のする方を見ると頭だけになったナナシが机の上に置かれておりコオリの方を向いていた。
「お前が裸だろうが」
ナナシが喋り続ける。そこでコオリは気づいた。自分が全裸である事を
「な、何を見ておる」
「服を着ていようが俺にとってはどうでも良い。が、それが嫌なら服を着れば良い。俺は自分では動けないのでな」
「だったら目を閉じれば良いだろう」
とりあえずベッドの上にあったシーツで身を隠した。
「それもそうだな」
言ってナナシは目を閉じた。そしてこう続けて言った。
「ところで、他の二人は良いのか?」
言われて視線に気づく
「医者として患者の身体を見るのは義務だろ」
悪びれる様子もなくバスコが言った。
「俺はただの興味本位だ」
隣のベッドで横になっているシキが開き直った様子で言った。
「誰か医者を呼んでくれー」
全身ボロボロになったバスコが叫び
「医者はアンタだろう」
更に怪我が悪化したシキがツッコミを入れた。
そして部屋の扉が開き何者かが入って来た。
「そして、それから一ヶ月程が経ち、身体の回復した私は貴様を迎えに行ったのだ」
そう言って、コオリは今までに起きた事を話した。




