10話 怪鬼
ビルの屋上に怪鬼が立っていた。うさぎの様な立ち姿若しくはヤンキーのような姿で座っているようにも見えるそれは、およそ三メートルといったところだろうか
「グオオオオオオオオ」
空を見上げ月に向かって吼える。
「何をそんなに吼えておるのだ、五月蝿いではないか」
そう言って話しかけたのはコオリだった。
「オオオオオオ」
コオリの姿を視認すると怪鬼はその腕を、鋭い爪を振り下ろした。
ガキィンと音が響く
「氷円盾」
左足一本でビルの屋上に立ち、振り上げた右足の裏には円盤状の分厚い氷が出来ていた。
その分厚い氷の盾で怪鬼の攻撃を防ぐと次は
「氷円」
左脚だけの跳躍力で飛び上がり
「刃」
先ほどまで分厚かった氷の盾が今度は極薄になり、その氷の刃で怪鬼の左腕を切り落とした。
「グオアアアアア」
怪鬼が痛みに悶え啼く
「知能なきモノにも痛覚はあるようだな」
そう言って今度は怪鬼の頭を切り落とそうとした。
しかしその攻撃は怪鬼が後ろに下がった事により、怪鬼の左目をかすめただけで終わった。
「グウウウウ」
右手で傷つけられた左目を抑える。
「今楽にしてやるぞ」
そう言って怪鬼にとどめを刺そうとしたその時だった。
怪鬼が大きく口を開け黒い閃光を発射した。
「しまっ・・・」
気がつくとコオリはモニターの前にいた。
「あぶなかったねー。きーちゃんが居なかったらコオリっち今ので死んでたかもよー。キャハ」
そう言ってキララ姫ちゃんが笑った。