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彼女が通った

作者: WAIai
掲載日:2026/06/25

登校する場所に辿り着くと、彼女がもう待っていた。


澄んだ空を見たり、通り過ぎる人を眺めたり、せわしなく身体を動かしている。


まるでウサギのようだと思い、俺は声をかける。


「おはよう」

「あ!! おほよう!!」


彼女が満面の笑みを浮かべ、手を振ってくる。

そのはしゃぎかたが、いつもと違うので、


「どうした?」


率直に聞いてみることにした。


「えっと、その、実は…」


彼女は告白でもするように、もじもじし始める。

俺は苛つかず、何だろうと不思議に見つめる。


彼女は周りを見つめ、誰も来ないことを確認すると、カバンを開ける。


「あのね、実は…」

「おう。何だ?」


びっくり箱でも出そうとしている道化師みたいに、彼女はカバンから何かを取り出してきた。


「はい、これ!!」

「え…? …封筒?」


彼女は白い封筒を出し、ぺろりと舌を出す。


「実は通ったのよ!!」

「通ったって…まさかアイドルの?」


彼女は嬉しそうにうなずく。


「まじで? 本当に?」


俺も興奮し始め、封筒を見つめる。

彼女は丁重に封筒から、書類を出すと、渡してくる。


「何、何…? この度はご応募、ありがとうございます。書類審査が通りましたので、お知らせいたします…!!」


俺は書類から顔を上げると、彼女が待っていて微笑む。手を差し出すと、2人でハイタッチする。


「やったな、おい!!」

「うん!! 1番に報告したくて!!」

「そうなのか? ありがとうな」


彼女をに抱きつくと、少し恥ずかしそうにしてくる。

俺は気にせず、背中を軽く叩く。


「良かった…!! 夢が叶う第一歩だ!!」

「そうなんだけどね。実は…」


彼女はやんわり俺の身体を押してくると、心配そうな表情を浮かべる。


「次、ダンスと歌の審査みたいなのよ。困ったことに」


「ダンスと歌…?」


彼女から身体を離し、書類を見る。

確かに次は歌とダンスの審査らしく、場所と日時が書かれている。


「もうすぐじゃないか!! 早く練習しないと」

「そうなんだけど、どこで練習しようか?」

「どこって…あ、そうだ!!カラオケとか」


俺が良い案だと思うと、彼女も緊張を少し和らげてくる。


「カラオケか…。誰の歌にしよう?」

「お前、あの人の歌が好きじゃないか。歌声も綺麗だし」

「そう? それなら、それにしよっと。練習、手伝ってくれる?」

「いいけど、ダンスはな…。MV見ながら、真似するか」

「そうなのよね。ダンスがね…。やったことがないからな」

「Tic Tockでもやるか? …でもそれだと、お前が美人なのが分かっちゃうしな。駄目だ、駄目」

「私って、美人なの? ありがとうね」

「おう。俺の自慢の彼女だ」


はっきり言うと、彼女が耳まで赤くなる。

くー、可愛すぎる!!


俺はまた抱きたいのを我慢し、言う。


「体育の先生に相談しようぜ。いずれは授業でダンスを習わないといけないんだし」

「体育の先生か…。嫌いなタイプじゃないから、頼んでみようかな」

「そうしろよ。あとは自主連だな。とりあえず、見様見真似でいいから、アイドルのMVを見ながら、練習しようぜ。俺も手伝うし」

「本当!! やった!!」


1人で不安だったのか、彼女は拳を作り、手を振る。

その嬉しさが俺にも伝わってきて、一緒に喜ぶ。


「じゃあ今日の放課後からな。分かった?」

「分かった。お願いします」


彼女が頭を下げてきたので、俺も「おう」と男らしく答える。


彼女がアイドか…。


その姿を想像して、頬を赤く染める。

心配した水着審査はなさそうなので、ほっとしていた。


「よっしゃ!! 頑張るぞ!!」


空に向かって大声を出すと、鳥達が飛んでいく。

まるでオーディションの審査員のところまで届けてくれるかのような、そんな感じだった。


俺が彼女の夢を叶えてやる!!


そう決意し、彼女を安心させるように、肩を抱いたのだった。



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