造花
造花に価値はないのです。
枯れたままでしたから、わかります。
宵だ宵だと騒いでおりました。
真新しささえありました。
死にどこか、素晴らしい絵のような感情を抱くのは、人間の性でありましょうか。
美しいものにはどれも、その気配があるような気がしてなりません。
得られないものが美しく見えるのは、なんとも、不条理なことでございます。
一生、得ることはできないのでしょう。
それが、美しいのかもしれません。
望んでいるうちが、花なのかもしれません。
私はなにも出来ず、ただ、立っていました。
大切な人がいます。
たった、一人だけ。
愛している人がいます。
同じ腹から生まれました。
なんとも思っていませんでした。
しかし、私に似ていくのです。
それを。
あぁ、かわいそうだと。
心底思いました。
私に似てはならない。
それだけは、かわいそうだ。
ですからもう、大好きだと、言葉にして、伝えることにしました。
怒っていても、叱っていても、疲れていても、いつでも。
上手くできてはいませんでした。
何しろ、初めてでしたから、全部。
初めてでない人がいるならそれは、どれだけ、優しい人なんでしょう。
私も、そうありたいと願っていますが。
どうも、そんなに優しくはないようです。
私はもう、ずっと、ずっと、美しくなってしまいたいと思っていました。
ふと、聞きました。
すると、私が大好きなその人は、そうではないと言うのです。
嬉しくてたまりませんでした。
うまく生きているようには、見えませんでした、文句をたくさん言っていました。
でも、私とは決定的に、違ってくれました。
勝手に、報われた気になっていました。
もう、全部、それでいいのです。
君がどうなろうと、それでもう、十分なのです。
生きていてくれて、嬉しいのです。
私がこんなことを言うと、思いませんでした。
涙が流れて仕方ありませんでした。
私は最初から、そうあったのでした。
造花でないと、幸せにはなれないのでした。




