9 まとめ
食品の消費税8%を「ゼロ」にする。
その意味が「免税」であっても「非課税」であっても、自炊が多い消費者には恩恵になります。
今まで1080円だった食品が1000円になることはないでしょうが、免税なら1030円くらい、非課税なら1065円くらいになると思います。
輸入食品については、免税になれば1080円だったものが1000円近くにまで下がるでしょう。
国内に荷揚げされてから店に並ぶまで、間に入るほぼ全ての業者が消費税を本則課税で申告しているでしょうから。
大きい店(年間売上5000万円以上)での外食の価格は少し上がると思います。
その上がり方は非課税の方が免税より大きいでしょう。
もともと消費税を払っていない小さい店では、わずかですが値下げ要因になるでしょう。
(コスト上昇に対して値上げが追い付いていないことが多いから、実際に値下げする店は少ないでしょうが)
今のところ、「消費税ゼロ」を主張する政治家の多くは「免税」の意味で言っています。
高市総理も、「免税に近い」「経費を仕入税額控除にできる」と言っています。
食品が免税になって一番困るのは小規模農家だと思います。
ここで言う「小規模農家」は年間売上300万円、利益50万円の兼業農家だけではありません。
年間売上4000万円、利益400万円の専業農家も含めてです。
本則課税で消費税申告する農家は肥料代などの消費税を税務署から還付してもらえます。
売上1000万円以下の農家は免税事業者で、もともと消費税の申告納付が不要で、
売上5000万円以下の農家は簡易課税という計算が簡単な申告で済みます。
免税事業者、簡易課税で申告する農家は肥料代などの消費税を還付してもらうことができません。
もともと本則課税で申告している大規模農家が、還付金をアテにして大きく値下げすれば、小さい農家もこれと競争するために値下げしないといけません。
あるいは、今まで自分で申告書を書いていた農家が税理士に頼んで本則課税で申告することになります。
税理士報酬は年に数十万円かかります。
食品の消費税を免税にすることは、小規模農家の淘汰を進めることにつながるでしょう。
この第9回を執筆したのは、自民党が圧勝した衆議院選挙の数日後の令和8年2月11日です。
選挙戦の中盤から自民党の高市総裁の「食品の消費税をゼロに」の主張がトーンダウンしたように思います。
おそらく、国民民主党の玉木代表の指摘を受け、「食品の消費税をゼロに」が容易な話ではないと気づいたのでしょう。
消費税を弄ると、いろいろな業界に影響が出て大変です。
それに、食費に月10万円かける金持ちに月4000円の恩恵を、月3万円をかける庶民に月1200円の恩恵を与える政策が最適だとは思いません。
(食費が4%安くなる想定)
給付付税額控除は、令和6年分の所得税・住民税でやった、本人と扶養親族など1人あたり所得税で3万円、住民税で1万円安くするような計算でしょうか。
もともと所得税が1万円なら、差額の2万円を給付するような。
あれは、税金を計算する納税者・年末調整担当者にも、給付する自治体も面倒だったと思います。
食品の消費税を免税か非課税にするよりはマシでしょうが。
筆者としては、物価高で苦しむ家計への救済には、消費税減税よりも給付金がシンプルで効果的だと思います。
コロナの時に1人10万円配ったアレです。
年間の食費を1人30万円とみなして、その4%とか8%、12,000や24,000円を一律で給付するのです。
マイナンバーカードに公金受取口座を設定している人に配れば、事務の手間はさほどかからないでしょう。




