4 簡易課税
先ほど説明した通り、消費税は
納付額=売上の消費税-仕入税額控除(経費の消費税)
と計算します。
すべての経費について、消費税が10%課税か8%課税か、非課税・不課税か、課税だとしてインボイス(登録番号付きの領収証・請求書)はあるのか、区別して集計し、消費税額を計算します。
このような計算は大変です。
なので、簡易課税という制度があります。
対象は、基準期間(前々期)の課税売上(免税売上含む)が5000万円以下の事業者です。
前年度末までに簡易課税の届出の必要があります。
簡易課税では、
仕入税額控除=売上の消費税×みなし仕入率
で計算します。
経費の消費税がいくらか、実際に計算する必要はありません。
みなし仕入率は業種によって異なります。
第1種売上 卸売業 90%
第2種売上 小売業・農業(食品) 80%
第3種売上 製造業・農業(食品以外) 70%
第4種売上 飲食店、その他 60%
第5種売上 サービス業 50%
第6種売上 不動産業、金融業 40%
農業は、販売する作物が食品か、食品以外(飼料用、畳の材料のイグサなど)かによって扱いが異なります。
消費税率が一律5%や8%の頃は第3種でした。
10%に税率が上がり、食品だけ8%になった時に、業種区分が変更されました。
野菜農家が売上で8%の消費税を受け取り、経費(肥料代など)に10%の消費税を払っているのに、みなし仕入率が70%のままでは負担が大きいからです。
飲食店の売上でも、テイクアウトは製造業の扱いで70%です。
配達の売上は飲食店の売上として60%です。
配達専門店(店内に客が食べるための椅子やテーブルが無い)が配達すれば、製造業で70%です。
簡易課税だと、売上を6種類に分けるだけでいいので、計算が「簡易」ということになっています。
(商売によってはどれに区分すべきか悩ましいこともありますが)
たとえば、野菜農家で
売上1080円(うち消費税80円)
肥料代・機械代など660円(うち消費税60円)
支払給与100円(うち消費税0円)
だとします。
肥料代・機械代などの支払にはすべてインボイスがあります。
この場合、本則課税だと
売上の消費税80円
仕入税額控除60円
納付額=80円-60円=20円
簡易課税だと、
売上の消費税80円
仕入税額控除=80円×80%=64円
納付額=80円-64円=16円
ほとんどの事業者では、簡易課税の方が納付額は安くなります。
ただ、飲食店については、本則課税が安くなる事業者をチラホラ見ます。
また、大きな設備投資がある年は本則課税にすることで、納付額を減らすか、逆に還付金を受け取ることができる場合もあります。
(その後、簡易課税に戻るのに制約があったりしますが)




