3 インボイス制度
令和5年10月からインボイス制度が始まりました。
食品の消費税を免税にするという議論には、直接は関係しません。
しかし、農家への影響を考えるには知っておいた方がよいので、ここで解説します。
税務署への納付額=売上の消費税-仕入税額控除(経費の消費税)
先ほど、この計算を紹介しました。
「経費の消費税」を書きましたが、厳密に言えば「課税売上と免税売上のための経費の消費税」が仕入税額控除になります。
インボイス制度が始まり、インボイスがある経費の消費税だけが仕入税額控除になります。
インボイスは、正式には「適格請求書等」といいます。
登録番号が書かれるなどの条件を満たした請求書・領収証のことです。
登録番号は、課税事業者のみが取得できます。
免税事業者は取得できません。
説明し忘れていましたが、基準期間(前々期)の課税売上(免税売上を含む)の合計額が1000万円以下の事業者は免税事業者になります。
消費税の確定申告・納付の義務がありません。
(いろいろ例外はある)
たとえば、令和5年の売上が900万円の飲食店は、特別な手続きなどをしなければ令和7年は免税事業者です。
登録番号の発行申請をしたら、今後は課税売上・免税売上の金額に関わらず、課税事業者になります。
接待で飲食店を利用して税込11,000円を払う場合、
その領収証に登録番号があれば、仕入税額控除は1,000円になります。
登録番号が無ければ、仕入税額控除になりません。
飲食店の領収証に登録番号があるか無いかで、後で税務署に納める消費税が1,000円変わってきます。
なので、事業者が経費で食事をする場合、仕事を外部の業者に発注する場合などには、その店・業者がインボイス登録しているかどうかが気になります。
同じ値段で同じ美味しさの店が近所にあって、片方がインボイス登録していて、もう片方がインボイス登録していなければ、インボイス登録している店に行く方がお得です。
外部の業者に仕事を発注する時は、「インボイス登録しているなら税込11万円払うが、未登録なら10万円しか払わない」と言いたくなります。
居酒屋なら一般人の客が多いから、売上1000万円以下の店が無理してインボイス登録する必要は薄いでしょう。
しかし、会社相手の売上が多い一人親方の大工さんなどは、インボイス登録するかしないかで、受取る金額が変わってきます。
あるいは、インボイス登録しないと仕事をくれない会社もあるかもしれません。
(支払相手がインボイス登録してないから消費税分は払わない、というのも下請法などの法律でやっていいのか少し曖昧です。またインボイス登録の有無で支払額の計算を変えるのも手間です。だったら、インボイス登録している業者にのみ仕事を発注する、という考えになるかもしれません。)
インボイス(登録番号付きの領収証・請求書)が無いと消費税を仕入税額控除にできないと書きましたが、例外がたくさんあります。
自動販売機でのジュースなどの購入や、電車・バス・船などの運賃は、条件付きでインボイスが無くても消費税が仕入税額控除になります。
数年間の期間限定ですが、
インボイスが無い場合に消費税の80%か50%が仕入税額控除になる、
課税売上1億円以下の事業者が支払う場合、一件あたりの金額が1万円未満なら、インボイスが無くても消費税がすべて仕入税額控除になる、
などもあります。
そして、農家には大きな特例があります。
インボイス未登録の農家が農協や卸売市場を介して出荷した場合は条件付きで、作物を購入した業者は消費税をすべて仕入税額控除にできます。
「農協特例」「市場特例」と呼ばれています。
なので、農家はインボイス登録しなくても売上はあまり減らないことがあります。
だからインボイス登録をせず免税事業者のままでいる農家は多いです。
(食品の消費税ゼロには関係無いが、課税売上1000万円以下で、インボイス登録にともなって課税事業者になった事業者は、納付額を売上の消費税の20%とする「2割特例」もあります。個人は令和8年まで。)




