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夏休みの宿題“ことわざを試してみよう”

作者: 出雲 寛人

中学3年生、今日は夏休み最終日。


一番厄介な宿題が残っている。


それは、“ことわざを試してみよう”である。


夏の自由研究とかは今まであったが、何故か趣向を変えたのか分からないが、聞いたことない宿題である。


自分が気になることわざを試してみて、実際にどうだったかを感想文としてまとめて提出するのだ。


夏休み最終日、現在朝5時。


さて、よく分からないが散歩に出てみよう。


素早く着替えて玄関から勢いよく飛び出すと、雨。


雨かー。


テンション上がらないな。


どうせ何も起こんないんだろうなと思いつつ、傘を片手に歩き始めた。


近所の自販機で眠気覚ましに、暖かい微糖の珈琲を購入した。

お釣りを取ろうとするとキラリと光る何かが自販機の下に見えた。


お、500円ぽいと思って拾ったがそればどこの国の金貨かわからないものであった。


ついてないなー。とりあえず銀行に届けよう。


交番に行かずに銀行に行けば日本のお金に変えてもらえると思ったからだ。


銀行に行き、係の人に硬貨を渡すと3つの選択肢が書かれた紙を渡された。


①交番に行く

②10,000円に換金する

③未知の世界へ行く


んー、また立ちはだかるんだね。良心を刺激される。②は魅力的。③もどんな世界か気になる。けれどいい子として育てられてきた僕は①を選ばずにはいられなかった。


係の人はにっこりして「お気をつけて。」と言った。


渋々交番へ行き、硬貨をお巡りさんに渡した。


するとお巡りさんは突然大声で「そ、それはー!」と叫び出した。


そして、号泣して「ありがとうございます。ありがとうございます。」と繰り返した。


「どうしたんですか?これは何ですか?」


「これは親の形見です。私は雲の中にある世界から来た雲人間です。」



ちょっとよく分からないが、


「そうなんですね。そんな世界あるのなら、見てみたいです。」


「そうですか。あなたは親の形見を見つけてくれた恩人だ。案内するよ。」


そして交番の裏口を出ると、そこは白一面の世界が広がっていた。


ここが、雲の中にある世界…。


不思議と僕自身も浮いているような心地がした。


そして目の前には虹があった。


「こんな至近距離で見る虹、初めてです。」


「そうだろう。僕もこの世界に生まれてよかったなと思える一番の要素だよ。」


そして、虹の中に入るといつの間にか交番の中にいた。


「ここで見たことは内緒にしてね。」


お巡りさんは健やかに笑った。


夏休み最終日、“早起きは三文の徳”を試してみたが、三文以上の経験が出来たと思う。


さて、今日起きたことをまとめて明日には宿題として提出出来そうだ。


そして最後の一文を書き終えた瞬間、僕が書いてきた文字が全て雲になって消えていった。

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