『坂口安吾問題』
『坂口安吾問題』
㈠
坂口安吾は、学生時代、結構触れましたね。小林秀雄のことを書いた、『教祖の文学』。太宰治のことを書いた、『不良少年とキリスト』。しかし、何といっても、坂口安吾と言えば、『堕落論』だと思います。良く読んでました。
㈡
ただ、自分も勘違いしていた、坂口安吾問題は、この『堕落論』にあります。多分、堕落について書いた、何か入門書の様なものなんだろうな、と思ってましたが、全然スケールが違います。戦後日本、日本人が堕落したとされるが、それは配線だから、ではなく、人間だから、自然と堕ちるのだ、ということ。
㈢
奥が深いなあ、と思ったものです。そういう考えに基づけば、堕落した日本人の精神の救済になりますよね。そして、敗戦から立ち上がり、日本の未来に希望を与える。まさに、坂口安吾問題と言えば、『堕落論』の本質的理解が広まっていないこと、にあると思われます。