凱旋
あの後残党をビクトルの指揮のもと殲滅し《天領の民》は事実上壊滅した。
だが、問題はその後だった。
残党は確かに掃討した。しかしそれはあくまで残党でしかない。
今回生き残った連中が、これからもずっと大人しい保証はないのだ。
そして一度でも《天領の民》の生き残りが復讐心を抱いていた場合、彼らは必ずや再び現れると思う。まぁここまで手ひどくやられたら心も折れてる可能性も高いけど。
あと皇国は滅亡した。今後は帝国と王国が共同で開発し、互いの王族から1人づつ結婚させ新しく王を立てるつもりらしい。互いに結婚の話はもうついたらしいけど名前聞いても誰かわからなかったし見たこともなかった。
まぁ俺には関係ない話だな。
そんなわけで今は残った国民達の生活基盤を作るため各国が協力している最中だ。
そんな中俺は、というか俺たちは帝国で最も大きい広場で立っている。パレードするらしい。凱旋パレードってやつ。
俺、ビクトル、勇者様を筆頭にして今回の作戦の功労者を大々的にアピールするらしい。正直目立つことは嫌いだから断りたかったんだけど、断れなかった。
まぁ別にいいかなと思っている自分がいる。
ラッパの音と共に馬車が進む。
馬車が特別仕様でステージのようになっており俺、ビクトル、勇者様がそこにいる。
イケメンの王族2人挟まれる平民の気持ちを少しは考えて欲しい。民衆の歓声が上がる。
ビクトルも勇者様も流石王族だ、愛想よく手を振っている。慣れてやがる。
俺は控えめに手を振るので精一杯だ。
モニカたちも手を振ってるけど様になってる。
このままぐるっと街を回って王からなんかお言葉と勲章貰って・・・頭痛くなってきた。名誉な事なのに・・・