希望
《天領の民》のトップは多分本拠地に篭り出てこないだろう。
ならどうするべきか・・・ 攻め込むしかないのか・・・いや、流石にそれはリスクが高い。
なら向こうから出てくるように仕向ければいいんじゃないか? でもどうやって・・・
悩みに悩んだが良い案が浮かばない・・・
「ん?何だこれ。」
俺が手に取ったのは一冊の本。日記か?
試しにめくって中を見た。
特にこれと言って不思議ではない使用人の日記だ。だが、中に気になる文章があった。
『長男のビクトル様が魔人族と戦い退けた。』
これは・・・まぁ普通の日記なんだけどさ、問題はここじゃないんだ。
これがビクトルとやらの戦いの記録だってわかった。そして記録したのが2年前。
部屋を出て近くにいたメイドにビクトルのことを聞いた。
「ビクトル様は現在留学中です。たしか来週帰省するそうですよ。」
来週か・・・まぁ間に合うか。作戦は決まった。
帝王の所に行き全員集めてもらい説明をした。
「なるほど、ビクトルか。」
「えぇ。王国の『勇者』と帝国の『英雄』2人で《天領の民》を討ってもらいます。」
「なるほど、ビクトルさんと手合わせしたことあるけどあの人なら安心だ。」
「それに、我が息子が功績を上げたとなれば帝国の権威も・・・」
よしよし、帝王達も乗り気になってくれたみたいだ。
とりあえずこれで現段階での準備完了っと。