証拠隠滅
杖の魔法の情報を全て抜き出して解析を完了した。
その上なんとも都合のいいことに魔物を集めるお香がついた小瓶が杖に引っ掛けられてた。
「じゃ、火でも放つか。」
完全に犯罪者のそれだ。
「でも良いの?犯罪じゃない?」
「いや、大丈夫だよ。僕の権限でどうとでもなる。」
流石は王子様。確か《天領の民》関連に限って勇者リシルスの権限で殺人以外なら無罪にできるとかなんとか。人類の存亡のためだし。
「もちろん人死には出さない為に使用人たちは逃してから火を放つ。」
最悪その証拠を拾ってきた部屋だけでも良いけど。
「さ、始めるか。」
適当なゴブリンを倒して魔力を流し込み操る。
「はぁ。これ結構神経使うから死ぬほど疲れるのにこんな短期間で連発するとは・・・」
屋敷にゴブリンをけしかけてパニックになってる使用人たちを勇者様が落ち着けて、それから何とか全員避難させた。
屋敷にはゴブリンに松明を持たせて火を付けさせた。
おーおー派手に燃えてやがる。煙もすごいな。
まあこの程度の火事くらいなら問題なく消し止められるか。
よし、証拠を拾った部屋は燃えたな。俺らが証拠を取ったという証拠は隠滅に成功した。
「な、何で私の家ばかり・・・」
おっさんは泣いているようだ。
ご愁傷さまでーす。
ん?そもそもゴブリンはそこそこ知能があるから人間の街に近づくことないのに自分以外も襲われる可能性あるみたいに言ってるな・・・
魔物を引き寄せるお香・・・襲われるのは決定事項だと考えてる・・・コイツまさか街にお香撒いてやがんのか?
これでコイツは《天領の民》側の人間だとわかった。
おっさんはお香を証拠に拘束した。そもそも魔物を引き寄せるお香は第一類の危険物に指定されてるから国からの許可無いと所持が許されてないし。
拘束して冒険者ギルドの地下牢に閉じ込めて尋問を始めた。




