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故郷

暑い・・・この暑さで山登りはキツイな・・・

歩くこと1時間、ようやく目的地が見えた。

「おー見えた見えた。」

数軒の家があるだけの村。俺の育ちの村。

「あー着いたぁ。」

村に足を踏み入れると警戒した顔の老人がいた。

「なんじゃ!この村には何もないぞ!」

あ、こんだけ装備してる人来たら流石に警戒するよな。

「おーい!じいちゃん!俺だよ!ユウだよ!!」

体が大きくなったし声も低くなったからわかりづらいだろうけど。

「ユウ!?ユウか!?おい!!ユウが帰ってきたぞ!!!」

じいちゃんは大声で叫びながら走って行った。

村人たちが続々と集まってくる。

レイラたちと同じくらいの子供が走ってくる。

その勢いのまま突進してくる。

「ぐへぇ!」

「久しぶり!!覚えてる!?」

「お、おう・・・久しぶりだね。リン。」

この子はリン。俺の妹弟子で身長は小さいが俺の二つ下でレイラたちよりは年上だ。

俺が師匠に引き取られた後、この村で年の近い子供が俺たちだけだったから兄妹のように過ごしてきた。

ダメだ、リンの顔見てたらこの村で暮らしたくなってきた。郷愁に駆られるってこういうことかな・・・

「ところで後ろの人たちは・・・」

「紹介するよ、冒険者パーティ、《勇気の恩寵》の仲間たちだ。」

各々自己紹介をしていった。

「で、こっちは正式なメンバーじゃないけど学園で仲良くしてくれてるユーリィさん。」

ユーリィさんは公爵家の令嬢だと紹介したら皆んな驚いてた。

「今日からここで暮らすの!?」

「そういう訳じゃないよ。たまたまこの近くに来たから師匠の墓参りでもしておこうかなって。」

「そっか・・・じゃあ行こうか!」

リンが俺たちを案内してくれる。

師匠の墓の前に座り持ってきたお酒を注ぐ。俺は買えないから代わりにソフィーさんが買ってきてくれた。

「久しぶり、師匠。」

返事のこない挨拶を1人呟く。

「師匠が死んでから、冒険者になって、色々あったけど、クソみてぇなパーティに何年か居たけど・・・今すごく楽しいんだ。すごい仲間にもあってさ。」

落ち着いて軽く話して帰るつもりだったのに言葉がどんどん溢れてくる。

「モニカはさ【聖女】で、ソフィーさんが【賢者】の称号持ってるんだ。それに俺たち公爵家の令嬢と一緒に冒険したんだぜ。勲章ももらったよ・・・。」

涙が出てきた。モニカたちの前で恥ずかしいけど止まらない。

「だからさ、安心して見守ってて・・・」

最後の方声が出てなかった。

「大人になったら一緒に飲む約束はもう叶わないけど、死んだらあの世で一緒に飲もう・・・」

そう言った後頭に何かが触れる感覚があった。

泣き虫だった俺を慰める時に師匠がよくやってくれた。わしゃわしゃと雑な撫で方・・・

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