叙勲
あぁ・・・遂に来た、勲章を下賜される日だ・・・
「なんで貴方はそんな処刑されるみたいな顔してるのよ。」
「ユーリィさん、俺平民の出な上孤児なんですよ。自分が勲章貰えるとは思わないじゃないですか・・・」
そもそも王都にいること自体俺の計算外なのに。
「パーティを代表してリーダーが受け取るらしいけど、俺らのリーダーって誰なんだ?」
そもそもそこ決めてない。
「ユウじゃないの?」
ユニさんが不思議そうに問う。
「いや、元々4人で組んでた時はリーダーはソフィーさんがやってたんだよ。」
「私はやりませんよ?向いてないですし。」
ソフィーさんが拒否し
「私もリーダーとかは無理ですね・・・」
モニカも拒否する。
「ユウで良くない?指揮するのもギルドへの報告もやってるし。」
「ご主人向いてる。」
「ご主人頑張れ!」
・・・まぁリーダーつっても代表ってだけだしな。それでいいか。でも1番弱い俺がリーダーなの賛否起こりそうだなぁ。
コンコンと扉をノックされ返事をする。
入ってきたのは騎士鎧を着た金髪の男だった。
そして彼は俺の前に立つと敬礼した。
俺もそれを見て返礼する。
「《勇気の恩寵》の皆様、叙勲式の準備ができました。」
騎士の男について行く。そこには多くの貴族がいた。うへぇ、頭くらくらしてきた。
「冒険者パーティ、《勇気の恩寵》よ!此度以下の功績を認め、王都勲章を叙勲する!」
そう言って俺たちの功績を読み上げていく。と言っても三つしかないけど。
・先日のドラゴンとの戦闘の際に勇者を援護し討伐に大きく貢献したこと。
・学園に侵入したB級冒険者パーティと交戦し被害を最小限に抑えたこと
・この国で3つ目の聖武器を発見しシンフィールド公爵家に献上しこの国の戦力増強に貢献したこと
を根拠に叙勲をしてくださるそうだ。
「この度は身に余る栄誉、今にも天に昇りそうな気持ちにございます。」
「我が息子、リシルスはお主に爵位を渡した方が良いと言っておったな。」
ガハハと豪快に笑う。流石に爵位もらえるほどの働きはしてないよ。
ほら、周りの家族もざわざわしだした。
「私は反対でございます!!その様な下賎の者に爵位など!!」
なんだこの聞き覚えのある声。
あぁ。思い出したあの伯爵のガキじゃねぇか。
「その者は卑怯な手を使い私を退学に追いやりました!」
おいおいこっち見て言うんじゃねーよ。
あぁもう帰りたい。帰って寝たい。
何見てんだよ、見せもんじゃねぇぞ。
あーほら空気悪くなっちゃったよ。
・・・でもここで何か言わないとまずいか。
俺は一歩前に出て発言する。
・・・こういう時にどう言えば良いのか分からないから とりあえず無難なこと言おう。
貴族社会のルールとかよく分かんないし。
「そうですね、決められたルールで決闘した結果学園側は不正はなかったと判断したことが卑怯だと言うのであれば私は卑怯な手を使いました。」
俺の言葉を聞いた周りは困惑している。学園の規則は王の勅命とほとんど変わらない、逆らうということは即斬首レベルだ。
「バルガス伯爵。其方、息子への教育がなっておらんな。」
「ひ!申し訳ございません!!」
静観していたキールの親父は青ざめた顔で頭を下げ出した。うん、あの圧を俺に向けられたら余裕で漏らす。
「そもそもの話、この位で爵位は与えられん。」
俺が爵位もらうとなったら魔人族とか攻めてきた時それを討伐してようやくもらえるレベル。
そんなこんなで叙勲式は終わった。
その後、叙勲式の後のパーティー・・・
国王の態度で国王に気に入られている様に見られたのか貴族が次女や三女を嫁に貰わないかと勧めてきた。なんか嫌予感したから辞退したけど。
・・・疲れた。ベッドに倒れ込むとすぐに意識を失った。
翌日、叙勲式での出来事が噂になっていた。
叙勲式では貴族の子息が暴言吐いたり、俺を睨みつけたりと色々あったが何とか乗り切った。なんなら王都の新聞で『貴族に理不尽にに睨まれても我が道を貫く冒険者』としてそこそこ有名になった。お陰でC級昇格までもう少しのところまで来た。怪我の功名ってやつかな?
残りの休みも有意義に過ごさないと。




