驚愕
王都に着き公爵家・・・もといユーリィさんの家に来ていた。
「これらが今回の遺跡探索の成果です。こちらの聖武器をお受け取りください。」
ん?喋らねぇぞ、どうしたんだ?
「いやはや、驚いた。本当に聖武器を持ってくるとは。」
俺も驚いてる。もっと深いところにある物とばかり思ってたからあんな浅いところで見つかるとか思ってなかった。
「なるほど、では受け取ろう。他の聖遺物も買い取らせてもらおう。」
「ありがとうございます。・・・提案なのですが、よろしいでしょうか?」
この人と国王から注目を得てこの国である程度の地位を確保するための布石だ。
「申してみよ。」
「こちらの指輪をシンフィールド公爵様の名で国王陛下に献上したいと思います。」
元々は俺が魔道具に加工して使うつもりだったけどメイリアたちと話し合って国王との縁を作った方が後々有利ってことになった。
「何故だ?」
「この指輪は聖遺物ではありませんが素晴らしい装飾で身につけているだけで国王様の権威が上がりましょう、その指輪を公爵様が献上したとあれば国内での発言力も上がると思うのです。」
俺がそういうと公爵様は顎に指を当て少し考え込んで・・・
「なるほど、良いであろう。兄上に恩を売るチャンスだ。」
これで俺たちが遺跡探索して成果を出し国王に益をもたらしたという実績にもなる。
遺物と聖遺物を何個か売ってそこそこの金になった。
公爵家を出てその足で俺たちは王城に向かった。
指輪を箱に入れて保管し公爵様からの紹介状を門番に出して通してもらう。
部屋に通されしばらく待っていると使用人が俺たちを呼びに来た。
「久しいな、ユウよ。」
「一冒険者である私の名前を覚えていただき天にも昇る気持ちでございます。」
「して、何用か?」
「はい、私たちは先日シンフィールド公爵様の支援を受け遺跡を探索してきたのですが、その際に見つけたこちらの指輪を国王陛下に献上したく思い参りました。」
国王に指輪が渡る。まじまじと眺めて息を漏らす。
「惚れ惚れする美しさだ。受け取ろう。遺跡に行った時と言ったな?他には何か成果はあったのか?」
「踏み込まれていない第5階層のモンスターを討伐し聖遺物と遺物をいくつかと聖武器を入手しました。」
俺の言葉を聞いて部屋にいた奴らがざわつき始める。
国王はそれを見て手で静まるように促してから言葉を続ける。
「その聖武器は今どこに?」
「シンフィールド公爵様に献上いたしました。」
「ほう、我なら彼奴より金を出せるが。」
「シンフィールド家の長男は弓の名手だと伺いまして、国王様の権益に深く関わると思い献上いたしました。」
「確かに、ユージンの弓は王都でも右に出るものはいない・・・良い判断だな。」
国王が納得したことでこの場にいる連中も静かになった。
そして国王は立ち上がり宣言をする。
「今ここに、冒険者パーティ、《勇気の恩寵》に王都勲章を授与する!」
王都勲章!?確かこの国に何かしらの権益をもたらした人間に与えられる勲章・・・
「授与式は1週間後!貴族たちに通達するように!」
国王の威厳と圧力半端ねぇ・・・
あれよあれよ話は進み自室のベッドに腰を落ち着けたところで現実味が増してきた。
「勲章って・・・えぇ!?」
理解が追いつかない。
少し縁を作るつもりだったのにまさかここまでとは・・・