収穫
ソフィーさんが炎魔法を当て俺が氷魔法を当てを3度ほど繰り返した。
「《風刃》」
風の刃を飛ばして鱗を狙うが・・・
「クッソ・・・流石に避けられるか。」
「どうします?このままだとジリ貧です。」
どうするか・・・仕方ない。
「俺が剥がしに行く。」
「大丈夫ですか?」
「多分。このままだと全員死ぬ。やるしかない。《加速ボード》」
この加速ボードは本来俺の初動の遅さを補うために作った魔法だ。
一気に距離を詰め剣を差し込む。
「うおぉぉぉぉぉ!!!!」
ブラッドスネイクも剥がされまいと暴れる。
あ、落ち・・・
「《雷速》」
落ちて背中を打つと思い目を瞑って歯を食いしばっていたが助けられた。
「レイサ!?」
今の魔法俺が教えたやつ・・・俺よりもキレッキレじゃん。
「ご主人。無理しすぎ・・・」
「接近戦は私たちに任せて!!」
レイラがいつの間にかブラッドスネイクの鱗を剥がしてた。
「ふー・・・俺も焦りすぎてたな。」
「ご主人。私たちも頼ってよ。そんなに頼りない?」
「いや、すまん。俺の考え不足だった。」
俺も冷静じゃなかったな・・・ それからは順調に剥がすことができた。仲間を信じて頼らないと。俺が俺を信じてくれてる仲間を信じてないみたいだ。
「よし、俺とソフィーさんで鱗剥がしやすくするからレイラとレイサで剥がしてくれ。後2枚剥がしたら魔法も通りやすくなるだろう。」
こいつの鱗は魔法を通さない。温度変化の影響は受けるけど嫌なほど受け流す。それでもキャパはあるだろうけど。持久戦は得意じゃない。特に俺が。
「メイリア!今!!」
「《雷牙》!」
太い雷の筋が鱗を剥がした所に直撃する。
「魔法を受け流す鱗で守られてるってことはその身は馬鹿みたいに魔法を通すってことだ。一点から魔法を流し続けられ内側で止まり続けた魔法は逃げ場をなくし・・・」
ブラッドスネイクが破裂した。破裂というか爆発というか・・・
「作戦完了!」
あ、素材回収しないと。
「おー。この鱗ほとんど無傷じゃん。良い値段付きそう。」
「肉ダメになっちゃってるけど良いの?」
「ブラッドスネイクは肉に猛毒を含んでるから食べられませんよ。」
ソフィーさんがそういうとレイラがビクッと肩を震わせる。つまみ食いする気だっだな。
「さて。素材回収したし次行くか。」
「待ってください。その前にこの部屋探索したいのだけど・・・」
「ん、あぁ良いですよ。そういやそうだ。探索が目的だった。ブラッドスネイク倒した満足感で忘れてた。」
少し笑いが起きる。ソフィーさんに言われるまですっかり頭から落ちてた。
そこからしばらくその部屋を探して回った。
「あ!ユウさん!見てください!!」
モニカが珍しく大声で俺を呼ぶ。
「んー?お!これは!」
「聖遺物ですよ!」
聖遺物とは古代の文明に伝わる神の加護を受けた装飾品などである。遺物との違いは魔力の有無だ。
「おーこれはすげぇ魔力。この指輪はユーリィさんのお父上に献上しよう。」
「そうね。少しでも成果を出した方が今後も自由に冒険できそうだし。」
「そうですね。そうしましょう!」
見つけたモニカも納得してるし。それでいいだろう。
それにしてもユーリィさん割と打算的な所あるよな。嫌いじゃない。
その後もしばらく遺跡内を探索し、そこで野宿することにした。
「ちょっと魔力もったいないけどモニカの結界にソフィーさんの停止魔法かけてから寝よう。」
寝た時に魔物に襲われようものなら最悪だ。特に遺跡となればヤバいのもいるし。
布をひいてその上に雑魚寝する。取り敢えず今日の反省だ。もう少し思考の幅を広げないと・・・一個決めたらそれに直行してしまう。
それに俺はなんでも自分で解決しようとしてる所があった。これじゃあ仲間と最強になんてなれない。仲間の不得手は俺が補い、俺の不得手は仲間に補って貰おう。
そういえば、モニカとメイリアに頼るのも中々時間かかったなぁ。何度も怒られたっけ。
今日は俺の弱点がわかった。それが一番な収穫だな。




