討伐/搾取
おいおい、魔物いるかもとは思ったけど・・・まさかワイルドウルフかよ・・・3匹以上の群れで行動する魔物だ。3匹しかいないからまだマシだけど・・・
「アイツらも冒険者か。こりゃジリ貧だな。」
「どうするの?」
「・・・よし、俺とメイリアでバラけて攻撃するからあの3匹が1箇所に纏ったら全員で叩くぞ。」
「了解。」
「よし、作戦開始!」
さて、まずは俺が風魔法で攻撃してこっちに意識を割かせる。
メイリアは炎魔法で外に逃げられないように囲む。
「ソフィーさん!」
「《グラビティバインド》」
おーこんな魔法今まで見たことない。学院に行ったのは良い選択だったな。
「メイリア魔法を叩き込み続けて反撃できないように!レイラ!レイサ!ユニさん!攻撃!!」
今のままだとあの毛皮を切れないだろう・・・
「《勇気の恩寵》」
地面に手をつき3人を強化する。
ワイルドウルフの首が目の前に落ちてくる。決着だ。
うわぁ血だらけだよ・・・まあしょうがないんだけどね。
その後、魔物も倒せたし素材もそこそこ手に入ったしまぁよしとするか。
「おい。」
後ろから声がする。さっきの冒険者か?にしても失礼だろ。
「お前《鈍色の光》をクビになった役立たずじゃねぇか。余裕で勝てたのに。俺たちの獲物横取りしやがって!素材返せ!」
あーはいはい。成程。俺たちが倒した素材奪い取って自分たちの金にしようと。
「さっきまで泣きべそかいて魔物に命乞いしてたとは思えない態度だね。『許して・・・!ごめんなさい・・・!』って。」
それでもなお突っかかってくる男を他のパーティメンバーが呆れ顔で見てた。
「はぁ。じゃあ今からワイルドウルフ探して連れてくるからそいつを倒してくれ。」
「なっ!?」
「余裕で勝てるんだろ?それとも《鈍色の光》をクビになった役立たず以下のカスとは言わないよね?」
「ぐぅ・・・」
ぐぅの音は出るんだ。
「もう辞めなよ。自分が《鈍色の光》の入団テスト落ちたからって。」
「コイツは何も出来ねぇ役立たずって話だったじゃねぇか!!おんぶに抱っこで稼いでるくせに偉そうな顔しやがってムカつかないのか!」
ああそう言う事ね。《鈍色の光》は結構名の知れたパーティだからなぁ。
自分のプライドが傷つけられて逆恨みしてると。
「はーくだらねぇ。モニカ、そいつ以外治してやれ。」
「え、は、はい!」
《回復》を使って男以外を治す。
「あんな待遇の悪いクソパーティの何が良いんだか。」
「だよねー。あの馬鹿がリーダーやってる限りその内崩壊するだろうね。」
「なんだ?負け惜しみかよ!」
「なんだお前まだ居たのか?負け惜しみも何も《鈍色の光》はカッシュが機嫌悪い時は金払わないし、バフかけたら『指示されたこと以外するな』ってキレて金払わないし、指示されたことしかしなかったら『自分で考えろ無能』ってキレて金払わない馬鹿のパーティはクソだろ。」
あ、そっかコイツ入団テスト落ちてるから理想しかないんだ。
可哀想に・・・ 俺の言ったことが信じられないらしく男はポカンとしている。
「ウチのリーダーがすみません。」
「いえいえ、あ、向こうにワイルドウルフの群れ居たから余裕で勝てるなら行ってきなよ。」
「いえ、私たちの実力では勝てません・・・本当にありがとうございます。」
「アイツそろそろワイルドウルフの毒回るからヤバいけど解毒できる?」
「いや、ウチら回復役いないんですよ・・・」
「ところで話変わるけど金ってパーティ共通で管理してるの?」
「いえ・・・個人の出来高でもらって個人管理ですけど・・・」
「なるほどね。」
よし、金稼ぎの時間だ。
「そろそろワイルドウルフの毒が回って視界歪んで来たころだろう。それに結構な量の血を流してる。よかったね。血出てたお陰で毒の巡り遅くなって。」
「クソ・・・」
「解毒金貨5枚回復金貨8枚でどう?先払いでね。」
「このクズが・・・」
「おいおい、教会で回復や解毒受けたらこの5倍はするぜ?良心的だろ?」
冒険者ギルドでも解毒と回復はしてくれる所はあるにはあるが教会の倍はする。
因みに《回復》も《解毒》も【聖女】以外使えない。《回復》と《解毒》さえ使えれば一応聖女と認められる。
「わかった、払う。」
「毎度あり〜。モニカお願い。」
「はい!」
金は全部モニカにあげた。俺は何もしてないし。あ、そうだ。
俺はポーションを取り出して男に投げた。
まあ勿論飲ませるためじゃないんだけど。
男が飲むとみるみると顔に活力が湧いていく。
やっぱり効果高いな。
・・・あ、やばい。
男の顔が怒りに満ちてる。
「ポーション代金貨3枚ね。」
「ぼったくりだろ!!ふざけるな!!」
「俺あげるなんか言ってないのに勝手に飲んだのそっちじゃん。」
散々コケにされたからな。いくら事実でもムカつくものはムカつく。コイツ以外に迷惑かからないなら搾れるだけ搾ってやるからな。
その後喧嘩売ってきたのを毒針で沈めてまた解毒代をむしり取ってやった。それでも騒がしいからメンバーに縛られて吊るされてる。
そろそろ夜明けだ。




