不測の事態
決勝戦序盤で3点取れたのはラッキーだった。
「この後どうするの?」
「そうですね・・・先ずは敵の数を減らしましょう。」
ユーリィさんと軽く話しつつ森を進む。
索敵能力のある敵がいたら先ず狙われるのはこのペアだろう。
勇者は単騎でバケモノ染みた能力を持っている。
モニカとメイリアはクソ硬い結界アホみたいな威力の魔法で攻めてくるし。
どう考えても勇者より劣る剣技のユーリィさんとチーム内で最も少ない魔力の俺のペアが浮いてる。
「このフィールドそんなに広く無いからそろそろ鍵見つけてもおかしく無いと思うけど。」
ユーリィさんの言葉に周囲を見回す。
「ユウ!良かった!ここにいた!!メイリアが!!」
そこに居たのはモニカだった。
「《穿光》」
次の瞬間俺は足を貫いた。
「な、何故わかった!?」
「変身系の恩恵か?魔法か?まぁどっちでもいい。俺はモニカにメイリアと絶対に離れるなって言ったんだ。モニカはそれに同意した。約束を違えるような奴じゃねぇんだよ。それにモニカは俺にもメイリアにも敬称をつける。変身するならさ、そこまで調べてからやれよ。」
足を貫いたから逃げようにも逃げられずに這いつくばっている。
「喋らずに奇襲かけた方が良かったぞ?まぁそんなんだからBクラスなんだろうけど。」
煽った時に怒りに任せて魔法を撃ってきた。さっきまでユーリィさんにも警戒していたが攻撃の瞬間俺にだけ意識が向いた。
その隙をついてユーリィさんが剣で胸を貫いた。
テレポートが発動し目の前から消えた。
「流石に今のは隙だらけすぎないかしら?」
「えぇ。2年のこの前退学した奴の方がまだ強かったです。」
退学したってた俺がさせたんだけど。いや、自分で賭け持ちかけてきたから自爆か。
そうこう話していると。空に爆破魔法が広がる。2発も。「急ぎましょう。」
「え?旗を見つけたんじゃ無いの?そんな急がなくても・・・」
「メイリアは無駄なことはしません。撃つなら1発で済ますはずなのに2発でした。何かあったからのメッセージだと思います。」
メイリアほどの魔法の使い手が2回撃つなんてミスはありえん。
「《速度上昇》」
ユーリィさんと俺に速度上昇をかけて走る。
爆破の見えた所まで全力で。
途中で勇者と会った。
「そういえばウチの【賢者】が言ってたけど・・・」
「ソフィーさんが?」
「お、本物だ。勇者様敵何人倒しました?」
「3年生の召喚士が召喚したモンスターに足止め喰らってた。召喚士ごと倒したからもう大丈夫だけど。」
「了解・・・だとしたらメイリアたちのところに敵が集中してるな・・・」
勇者と一旦別行動を取る。光魔法で隠れた勇者が別方向から奇襲を仕掛ける作戦だ。俺が合図したら攻撃を仕掛けてもらう。
俺が走って向かっていると森の中から爆発音が聞こえた。
やっぱりそっちか!! 爆破のあった場所に向かうと・・・ 地面に倒れているメイリアとモニカの姿が見えた。
急いで駆け寄ると2人ともボロボロだった。しかも致命傷では無いから身代わり人形が発動してない。
「やっと来たわね。」
そこに居たのは、ユニさんが俺たちのパーティに加入した時に話しかけてきたB級冒険者だった。
「あ?テメェみてぇなババアがなんでここに。」
「ふん、私は雇われたからいるのよ。」
・・・Aクラスの奴らか。
「お金さえ積まれればなんでもするのが私たちよ。生憎アンタらには恨みがあるから必要以上に痛めつけさせてもらったけど。」
召喚士が居たことを考えたら、元々契約しておいて召喚でこの中に呼び込んだのか・・・
モニカたちは《回復》を使って全快した。
モニカの結界に隠れて話を聞く。わざと結界を使わずに情報を引き出してくれたらしい。
でも必要以上に痛めつけやがったことは許さんがな。こいつらは身代わり人形使ってないはずだから殺したら死ぬけど死ぬほど苦しめてやらないと気が済まない。
「よし、決めた。」
作戦を決めた俺たちは結界を解いて戦闘態勢に入った。相手は4人。少し分が悪いけど負ける気はしない。