王城への招集
宿で休みギルド併設の食事処で軽食を摂りながら今日どうするか話し合っていたところに物々しい鎧に身を包み煌びやかな旗を掲げた騎士が入ってきた。
「うわ、なんだあれ。」
「誰か何かやったのかな?」
メイリアとこそこそ話し合う。
「冒険者パーティ《勇気の恩寵》はいるか!!」
えぇーー俺たちなんかやったっけ?
「すみません、私たちです。」
手を挙げながら立ち上がる。
「おぉ!探し回る手間が省けた。」
声をかけてきた騎士はこちらに近づいてくる紙を広げ読み上げ始めた。
「[汝ら冒険者パーティ《勇気の恩寵》は先のドラゴン討伐において勇者パーティと協力し討伐に
大きく貢献したその勇気を直接面会しその功績を讃えることとする]とのことだ。」
ちなみに俺たちは跪いて聞いている。ここの床ガタガタだから足痛いんだよね。
「ありがたき幸せ。この身に余る光栄であります。」
「そう堅苦しくならんでよい。ついてまいれ。」
そう言うと踵を返し歩き出した。俺達も立ち上がりついていく。
そこには豪華な装飾がされた馬車があった。
「まるで賓客扱いですね・・・」
いつも落ち着いているモニカですら若干動揺してる。
「うお、柔らか!」
普通の馬車は長時間座れば尻が痛くなるけどこれなら何時間でも大丈夫そうやな。
「ふかふかしてて気持ちいいです。」
レイラも満足気に座ってる。
そんな感じでわいわいしながら揺られていると目的地についたようだ。
「着いたぞ降りよ。」
そこは王城だった。
でっけ〜・・・
思わず変な声が出るところだったわ。
「王の公務が終わるまで部屋を用意してある。そこで疲れを癒すといい。」
通された部屋はとても広く椅子の装飾も俺の目で見ても高価なものだとわかる。
「失礼します。」
メイドさんが入ってきてお茶とお菓子をくれた。
「あ、ありがとうございます。」
緊張で言葉が詰まってしまう。
「ご主人!これ美味しいよ!!」
レイラは相変わらずテンション高い。無邪気というべきか。
「あ、うま。」
本当に美味しいお菓子だ。
甘いものを食べると落ち着くね。
「ではまた後ほど伺います。」
そういうとメイドさんは出ていった。
皆の顔を見回す。
大きめのため息をつく。
「なんでそんな嫌そうなの?」
メイリアに不思議そうに見つめられる。
「いやだってさぁ・・・偉い人に会ったことないから緊張するというかさ・・・」
勇者様とドラゴン討伐した時は緊急時だったからそんなこと言ってられなかったし。
コンコンコン
「はい!」
「失礼致します。王様の用意ができました。」
メイドさんに誘導されて謁見の間に入る。
王の前に跪き目線を下げ王の言葉を待つ。
「面を上げよ。そなたら名を何という?」
「冒険者パーティ《勇気の恩寵》支援術師のユウです。」
「【聖女】モニカです。」
「剣士ユニです。」
「斥候レイラです。」
「斥候レイサです。」
「魔法使いメイリアです。」
「【賢者】ソフィーです。」
全員一通り名乗りを終える。
「汝らの此度の活躍ぶりは第3王子である勇者から聞いておる。よってその勇気を讃え、報酬とし
て金貨を200枚贈呈する。」
200枚!?しばらく遊んで暮らせるぞ・・・
「そしてこれは提案なのだが、魔法学園への編入を推奨したい。」
王の提案とかそれはもう命令では?
ドラゴンを討伐に協力したパーティが編入すれば箔がつくしな。
「何、モニカとユウ。2人だけで良いのだ。」
「お言葉ですが陛下。私たちは一緒でないと意味がないのです。」
「なるほど、では全員でなら良いと?」
「はい。」
「ふむ。しかしなぜそこまで固執する?優秀な人材なら他にもおるだろうに。」
確かに俺の役はまだ変えが効くからな。
「それは・・・信頼できる仲間だからです!」
少し考えたあとモニカが答える。
「信頼?」
「はい、ユウさんは私を冒険者に誘い立ち回りを教えてくださいました。ソフィーさんは私に豊富な知識をくれました。他のみんなとも支え合って冒険者をやってきました。他の人材とはここまでやってこれませんでした。」
「そうか・・・ならば仕方あるまい。私の推薦だ入学資金は私が出そう。しかし編入試験は受けてもらう。」
「ありがたき幸せ。」
こうして俺たちは王城を後にした。
でもある意味ラッキーだった。王立魔法学園を出た人たちはB級冒険者相当の知識と戦力をもっているらしい。
編入試験は一月後。全力で勉強しないとな。レイサとレイラも。