トラブル
みんなやる気満々といった様子で返事をする。
その後近くの森まで行き、実験台としてゴブリンを捕まえた。
「さ、やってみようか。」
3人とも緊張した面持ちで手を前に出し魔力を込めている。
うん、それぞれイメージ通りの効果が出たみたいだ。3人共満足しているような表情をしている。
その後は実戦練習を行い、動きながら当てる練習をした。
最初は中々上手くいかなかったが徐々に慣れてきたのか、当たるようになってきた。
今日はこの辺にして帰ろうと思い、街に戻ると街の入口付近で誰かと言い争っている声が聞こえた。
うっわカッシュじゃん。あの馬鹿何やってんだよ。
近づいてみるとやはり言い争っていた。相手は冒険者だろうか? よく見ると顔に見覚えがある。確かBランクの冒険者のはずだ。名前は知らないけど。
なんにせよこんな街中で喧嘩とか勘弁してくれよ。とりあえず止めに入ることにする。
するとこちらに気付いたようで声を掛けてくる。
「テメェ!この前はよくも卑怯な真似してくれたな!!」
えぇ・・・正々堂々戦って負けたくせにどこまで救えねぇ馬鹿だよ。どうしたものかと考えていると後ろの方にいたティナ達が前に出てきた。こいつらはカッシュと一緒に甘い汁を啜ってた奴らだ。
あーもう面倒くさいな。
しかし、一向に戦う気配がない。何故だろうと見ていると、カッシュが一方的に罵倒を浴びせているだけだった。しかも同じ言葉の繰り返し。
「ふぁ・・・もう帰って良い?」
「馬鹿にしてんのか!!」
「その通りだよバーカ。」
馬鹿にしてないわけがないだろこんな馬鹿。
「お前も随分偉くなったじゃない。」
ティナが前に出て煽ってくる。
「お前は随分見窄らしくなったな。シワ増えてんじゃん。」
「なんだと!!!」
俺は頭を抱えてため息をつく。
はぁ・・・。こいつは救いようのないアホだ。ここまで来ると逆に感心するレベルだぞ。呆れを通り越して尊敬に値する。
ティナ達は完全に舐めきった態度を取っている。このままだと殺し合いになりかねない。と言うか殺しかねない。
 




