カッシュ2
「まぁ、俺追い出した後にモニカたちも出てって散々イキってたのに戦力は大幅ダウン。ざまぁねぇなぁ!!!」
「なんだとテメェ!!!!」
おっしゃ乗ってきた!! コイツちょろいな。プライドと矜持を履き違えた頭の悪い馬鹿は扱いやすくて助かる。
コイツは本当に頭が足りない。直情的でそして何より、戦術なんて考えてない。
あとはどうやって戦闘不能まで追い込むかなんだよなぁ。
「《身体強化》」
カッシュの基本スタイル身体強化してからの大剣で暴れる。それだけだ。
「《雷動》」
なるべく離れるように動きを設定して逃げる。
そうして追ってくるバカを見据えながらタイミングを図る。
そしてカッシュが大振りに大剣を振り下ろしてきた瞬間、全力で横に飛び退いてから足払いを仕掛ける。
通常の大剣は2キロから3キロ程度の重さだが、カッシュの大剣の重さは5キロと2本分の重さがある。その重さが破壊力を生んでいる。
しかしカッシュはその大剣をギリギリ持って振っている状態だ。だから振ってる途中に体重移動を崩したら簡単に倒れる。
突然の事にバランスを崩したカッシュは派手に転倒する。俺はその隙を逃がさない。
「《局所強化》」
腰と脚を強化する。全身に満遍なく強化魔法をかけるよりも局所にかけた方が強化される倍率が高い。
「オラ!!」
倒れているカッシュの腹を蹴り飛ばす。吹っ飛ぶカッシュを見て思う。
コイツこんな弱かったか?俺なんであれだけコイツに従ってたんだ?
「ぐっ、おえぇぇぇ・・・」
「おいおい、無能相手になんだよその様は。」
「テメェ・・・」
「ほら、B級の実力見せてくれよ。雑魚なんだろ?ほらほらほら!!」
重化の魔法をかけてカッシュを吹っ飛ばないようにして何度も何度も執拗に腹を蹴り続ける。
「俺にしたこと覚えてる?」
「がっ・・・あっ・・・」
「ゴブリンの集落に単身で突撃させて俺が弱らせたところを全部横取りして、果てはギルドで俺が役に立たないとか言ってたよな。」
顔を踏みつける。
鼻血を出しながらもこちらを見るカッシュの目には恐怖があった。
「何その目?俺利用して自分に名声集めてその果て金払わず追い出して。俺の代わりに入れた支援術師はどうだった?」
「やめ・・・」
胸ぐらを掴み上げて持ち上げる。
コイツはそこまで強くない。横取りするタイミングが上手いんだ。ある程度の強さはあるからタチが悪い。その上俺は何度もサンドバッグにされていた。時には剣で斬られてモニカがいなければ死んでたと思う。モンスターに俺を投げて腕を食われたこともあった。
「テメェだけは許さねぇぞクソ野郎。」
カッシュを投げてから息を整えつつ考える。
ここで殺すべきか。それとも生かしておくべきか。
ここで殺せば多少なりともすっきりするがその後問題になる可能性がある。
それに人殺しは罪になる。こんなののために罪を背負うのはアホくさい。
「じゃ、決闘は俺の勝ちだ。失せろ。」
「ふざ・・・けんな。まだ終わってねーだろ!」
起き上がろうとするカッシュの顔を思い切り蹴飛ばして気絶させる。
これで少しの間は目を覚まさないだろう。
「よし終わり!」
あとは合格者の人たちと少し話をして今日は終わりだな。